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田島列島『子供はわかってあげない』インタビュー【前編】 新感覚ボーイミーツガール!甘酸っぱすぎるひと夏の大冒険!!

2015/01/12


練習用のつもりで始めた 『子供はわかってあげない』のネーム

――初の長期連載作である『子供はわかってあげない』は全20話構成ですが、これは最初から決めていたんですか?

田島 いや、最初は1冊にまとまるように10話を想定してました。でも7話目を描いた時に「ムリだ」と思いました。

担当 まだ話の風呂敷が広がっている途中ですからね、第7話

田島 15話くらいでも収まらない感じでしたので、じゃあキリがいい20話にしよう、と思いました。

ひたすらネームを描いていた知られざる潜伏時代(?)については下巻のあとがきにも。要チェック!

ひたすらネームを描いていた知られざる潜伏時代(?)については下巻のあとがきにも。要チェック!

――担当さんは、田島先生が長編を描いていることはご存知でしたか?

担当 いえ、まったく知りませんでした。ひさしぶりに電話をしたら、田島先生が「今、長編描いてるんです」とおっしゃったのでビックリしたんですね。それまで短編しか描いてなかったから、ものすごく興味があって。でも僕ら編集者の感覚だと、作家さんが「長編を描いてる」と言った場合、いってて2話目くらいかな、と思うわけですよ。全体の構想がこんな感じで、第1話がこんな感じで……と。そのノリで田島先生に「今、何ページ目ですか?」って聞いたら……。

田島 今、287ページ目です、と(笑)。

担当 「なにを言いだしたんや!」って思いました(笑)。昔の手塚治虫さんの単行本描き下ろしみたいに、続きもので描いてるのかと思うじゃないですか。でも、よくよく考えたら「そんなはずはないよな」と。それで「今、何話目ですか?」と聞いたら「18話目です」とのことだったので、じゃあ各話が16〜19ページか、と。

――それだと常識的なページ数ですね(笑)

担当 全20話になるとの話だったので、それなら終わりも見えていることでしょうから、「全部終わってから読ませてください」と伝えました。

――これは失礼な聞きかたになるかもしれませんが、なんでいきなり20話分もいっきにネームを描こう、となってしまったんですか?

田島 それまで趣味でも長編は描いたことがなかったんです。だから受賞後に「連載用のネームを描いて」とか言われても、できなかったんですよ。だから「これは趣味だ」と言い聞かせて、練習用のつもりで描き始めたんです。

――それで気が楽になった部分もあるのかもしれませんね。

田島 そうですね、誰にも見せなくていいから。本屋さんに行ってもいっぱいマンガがあるから、「何を描いても誰かとかぶっちゃうんじゃないか」とその頃は考えてました。でも趣味で描くのであれば、誰に見せるわけでもないし、誰かとかぶってもいいや、と開き直れました。そういうふうに、自分の心を楽に、楽にしていって描いてました。

――じゃあ全20話まで描き終えたところで、誰かに見せようという気はなかったんですか?

田島 そうです。たまたま担当さんから電話がかかってきたので、話のついでに「今、長編描いてます」と言ってみただけです。

――どれくらいの期間でネームは完成したんですか?

田島 だいたい2カ月です。

――全20話分のネームをドカンと渡されて、どうでした?

担当 その時のネームがコレです。

――うわ、小さい(笑)

引きこもって完成させた魂のネーム全20話分がこれ! B4サイズの紙に8ページ分のお話が細かくみっしり描き込んであり圧巻。

引きこもって完成させた魂のネーム全20話分がこれ! B4サイズの紙に8ページ分のお話が細かくみっしり描き込んであり圧巻。

担当 以前は普通のサイズ(B4に2ページ)で描いていたので、かなり面食らいましたし、文字も小さいので読むのに時間がかかりましたね(笑)。でも読み進めていくうちに、どんどんのめり込んでいきました。喫茶店で渡されたのですが、その場で延々と4時間くらいかけて読みました。それで読み終わったあと、田島先生には「これはすごいと思います。おそらく連載になると思います」と伝えました。

――もうその時点で連載を確信してたんですね。

担当 そうですね。ただ、ちょっと心配はありました。小さいサイズで描いているので、セリフが多いように見えてしまうんですよ。ただ、マンガ原稿にしたら全体の面積が広くなるので、大丈夫だとは思っていたんですけど。実際に編集部に持ち帰ったところ、編集長も「これはすごい、このままいくべきだ」と言ってくれました。

――ではネーム段階から、ほぼ変えずにそのまま原稿に?

田島 ちょっとは変えてます。コマの配置とか絵の入れ方とか。でも、ほとんどネームの状態から変えてないです。

「ちょっと変えている」シーンのひとつ。ネームの段階ではあった田村正和のマネがなくなり、

「ちょっと変えている」シーンのひとつ。ネームの段階ではあった田村正和のマネがなくなり、サクタさんの心の声のセリフがより印象深いものに変更されている。


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