高校編になり高まるシリアス度。そしてラストの展開は――?
――『思春期ビターチェンジ』も基本的にコミカルなタッチではあるんですけど、随所に「女の子だった頃の私 いつか忘れていってしまうだろうか」など意味深で切ないモノローグが挿入されていたり、タイトルのつけかたなんかも、ちょっと野島テイストを感じます。高校生編では、もしかしたら戻れないまま生きていくのかもしれない……という未来も含めて、これからどうしようというシリアスな問題が出てきますよね。
将良 そうですね。中学生編までは、とりあえず戻ろうっていうのが強いけど、高校になるとそれだけじゃすまないこともどんどん増えていって……現実的に進路を考えはじめたり。ユウタとユイもこれまではずっと一緒にいられたけど、だんだん別の友だちができたり、お互いの知らない「自分」の世界ができてくる。それぞれの人生を歩み始めたかなって。
――高校生の時点で入れ替わってから6年。ここまでくると、別の人間として生きてきたそっちの人生のほうがなじんできちゃいそうな気もしますよね。
将良 よく、6年も経つと慣れちゃうんじゃない?って言われるんですけど、2人は次の日には戻れる、次の日には戻れる……って思いながらここまできたわけで。2巻の途中でも、ユイが朝起きて天井を見て、「また今日も元に戻れなかった」と思うシーンがあるんですけど、戻りたいという気持ちは変わらずすごくある。だからこそ、悩みが深いというか。
——『ちぇんじ』のラストは、90年代ドラマばりに切ない結末となっていますよね(現在も「迷彩バンビ」上で閲覧は可能)。『思春期ビターチェンジ』でも3巻の終わりには、悲しい未来を予感させるモノローグが挿入されていたり、いろいろ気になるわけですが、ラストも含め今後の展開は?
将良 これから描く話はじつは真っ白で。『ちぇんじ』では登場してない、新しいキャラクターがどこまで踏み込んでくるかも未定なので、一度クリアにして考えていこうと思ってます。これまではユウタとユイの成長にスポットが当たっていたんですけど、これからは2人の恋愛とか関係性をより深く描くことになりそうです。4巻はちょうど高校1年生の夏にさしかかってくる時期なので、ちょっと青春っぽいドキドキが加速していって、少女マンガっぽい感じも楽しんでもらえるかと(笑)。
――2人の物語はまだまだ続いていきそうですね。新展開も楽しみにしています! 将良先生、ありがとうございました。
取材・構成:井口啓子
撮影:辺見真也