2巻のみどころは「応用編」!?
——2巻のみどころは 「応用編」!?
田亀 私はこの『弟の夫』という作品を、自分ではおもしろいと思って描いています。だけど、これが世のなかに受けるとはあまり思っていなかったので、上下巻の2冊でひっそり終わるかな、と思っていました。
それでも言いたいこと、やりたいことができればいいや、と思っていたのですが、思いのほか読者のリアクションがよくて、もう少し長く続けられそうです。とはいっても、あんまり引き延ばすような内容ではないんですけどね(笑)。
ただ、2巻収録分のエピソードは、多少ゆとりが出た状況で描いたものです。ですから、当初想定していたものよりも、もうちょっとテーマ的に広めのものも含まれています。
1巻の冒頭は、最初はすごく距離が広がっていた弥一とマイクの2人が、ズレながらも寄っていく話だったのですけど、1巻の6話目くらいでもう両者の距離はだいぶ縮まりました。だから、1巻で「基礎編終了」といったところでしょうか。
これから2巻は、いわば「応用編」です。そういったあたりを楽しんでいただければと思います。
——ちなみに、コミックス1巻のカバー下の本体表紙にあるイラストは、これもファンサービス的な意味あいで?
田亀 ああ、本体表紙で遊ぶのが、私は好きなんです。よくあるパターンとしては、下絵とかボツ原稿を載せるんですけど、今回は下絵の出来があまりよくない。それでまあ、なにかオリジナルでやろうと思ったんですけど、「カバーを取ったらゲイ雑誌の表紙みたいな絵」みたいな感じです(笑)。
——パロディ的なお遊びですね。
田亀 マイクと弥一は大人だからセクシャルなコスプレでも全然問題ないんですけど、夏菜の衣装はギリギリですね。ゲイカルチャーでセクシャルではない衣装となると、ちょっと女子児童には難しい。あと、レンタルコミックで借りると、カバーがないっていう話を聞いて……。
ーーああ、それじゃお遊び的な意味が通じない、と。
田亀 あの絵がむきだしってのは、ちょっと……。だから2巻にももちろん絵を入れましたけど、1巻のような内容ではありません(笑)。
——わかりました、そちらも楽しみにしておきます。本日はありがとうございました。
『弟の夫』第2巻
田亀源五郎 双葉社 ¥620+税
……というわけで、『弟の夫』について、さらに深くその魅力に迫りました。
インタビュー終盤、話題に出てきた「1巻カバー下のイラスト」については……やっぱり、お手にとってからのお楽しみですよね! 今回のインタビューを読んで、第1巻、そして最新第2巻も堪能してください!
取材・構成:加山竜司
撮影:辺見真也