話題の“あの”マンガの魅力を、作中カットとともにたっぷり紹介するロングレビュー。ときには漫画家ご本人からのコメントも!
今回紹介するのは『おかあさん(10さい)と僕。』
『このマンガがすごい!comics おかあさん(10さい)と僕。』
根雪れい 宝島社 ¥640+税
(2017年4月19日発売)
「昨日 僕が学校から 帰ると」
「お母さんは僕と おない年くらいに なっていた」
ある日突然、母親が若返ってしまう。萌え系の作品に慣れ親しんだ読者であれば、よく見てきたシチュエーションなのでは。おそらく、今さらこの程度のことだけでは驚かないだろう。別に作者も、その設定に作品の重点を置いてはいないように見える。そこに気をとられると作品の本質を見失う。
いや、10歳になった「お母さん」はかわいいので、気をとられるのもやむなしだけれども。気持ちはわかるけれども。
さておき、この作品の大きな特徴は、むしろそんなシチュエーションに対峙する主人公の春(はる)が、小学4年生である点ではないか。
春は年齢のわりにはしっかりしている子だが(物語序盤のモノローグから察するかぎり、どうもそれなりに複雑な経緯で母子家庭になったようで、そんな事情も反映されているのだろう)、母親の面倒を見るにはさすがにまだ幼い。