話題の“あの”マンガの魅力を、作中カットとともにたっぷり紹介するロングレビュー。ときには漫画家ご本人からのコメントも!
≪『ホリデイラブ~夫婦間恋愛~』は「マンガボックス」にて大好評連載中! マンガは、こちらから!!≫
今回紹介するのは『ホリデイラブ~夫婦間恋愛~』
『ホリデイラブ~夫婦間恋愛~』第5巻
草壁エリザ (漫画)、こやまゆかり (原作) 講談社 429+税
(2017年6月13日発売)
「不倫、アカン」なムードが蔓延している今だからこそ、あえて注目したいマンガが『ホリデイラブ』である。
連載当初より女性を中心に話題を集め、単行本は通算20万部を突破。先日、待望の第5巻が発売された。
京都でネイルサロンを開いている30歳の主婦・杏寿は、大手ゼネコンに務め、現在は岐阜で単身赴任中の夫・純平と保育園児の娘の3人家族。結婚7年目を迎え、ときめきのない生活にさみしさを感じながらも、週末ごとに帰ってくる子煩悩で誠実な純平との暮らしに幸せを感じる杏寿だったが、ある日突然、純平の浮気が発覚して―――。
「男と女」から「家族」になってしまった夫婦関係とセックスレス、真剣に向きあうことを求める妻と面倒なことを避けたがる夫……といった構図は、既婚女性(あるいは長年連れそったパートナーのいる人)ならリアルに感じずにいられない!?
純平の裏切りに絶望を感じながらも、子どものことやこれまで積み重ねてきた2人の歴史を思うと別れることができず葛藤する杏寿の姿には、たしかに夫婦ってイヤになったから別れるという単純なもんでもないよなーと、その不思議な関係性についてしみじみ考えさせられる。
「不倫」が夫婦の問題だけでは収まらず、浮気相手とその旦那も巻きこんだドロドロの愛憎劇へと加速してゆく展開は、目下ドラマ版が話題となった、『あなたのことはそれほど』(いくえみ綾)にも通じるわけで。
しっかり者で冷静に物事を判断できる杏寿と、誠実でだれからも好かれるが単純で脇の甘い純平夫婦も、こういうカップリング実際にいそう!といったリアリティにあふれているが、強烈なのが計算づくで純平にモーションをかけるゆるふわ美女、里奈。SNSを駆使した犯罪まがいの手口で杏寿にハニートラップを仕掛け、さらには純平の会社の同僚にも自らをエサに不倫疑惑を広める、目的のためには手段を選ばないのドス黒っぷりには戦慄せずにいられない!