その3・「僕との出逢い」、なかったコトに
第8話での依頼主は、ホストの黒田透流(とおる)。
いかにもチャラチャラとしてそうな外見を持つ彼の依頼は、「自分と出会ったある女性の記憶を消してほしい」というもの。こころだけでなく、読んでいる側にとっても第一印象は、最悪な幕開けだ。
だが、その実このエピソードは本作屈指といってもいいほどの泣ける話! 依頼どおりに女性たちの記憶を消していくなかで、こころたちが出会った盲目の花屋と透流の意外な関係性と、2人の切ない結末が描かれるラストの展開には、思わず胸がいっぱいになってしまうことだろう。
今回は、昼ドラ的、コメディ的、そして泣ける話を紹介したが、これ以外にもエピソードはまだまだ存在する。
本作は「ドラマコミック」と謳っているだけ、ストーリー性に比重がおかれており、基本スタイルはオート再生で、タップでも進められるというお手軽なもの。サクサクとドラマが展開していく感覚は、ノベルゲーというよりはマンガに近く楽しめるのも、「このマンガがすごい!」の読者向け!
バリエーション豊かな各回は決して読者を飽きさせず、いつしか次の依頼が気になって仕方がない、本作の沼にはまっているはずだ。
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<文・山田幸彦>
91年生、富野由悠季と映画と暴力的な洋ゲーをこよなく愛するライター。怪獣からガンダムまで、節操なく書かせていただいております。
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