話題の“あの”マンガの魅力を、作中カットとともにたっぷり紹介するロングレビュー。ときには漫画家ご本人からのコメントも!
今回紹介するのは『怪奇まんが道 奇想天外編』
『怪奇まんが道』著者の宮崎克先生、あだちつよし先生から、コメントをいただきました!

『怪奇まんが道 奇想天外編』
宮崎克(作)あだちつよし(画) 集英社 ¥780+税
(2017年12月19日発売)
2015年11月に単行本が発売され、ホラーファンの間で話題を巻き起こした『怪奇まんが道』の待望の第2弾が出た。
前編が古賀新一、日野日出志、伊藤潤二、犬木加奈子という、80~90年代のオカルト~ホラーブームの象徴たる作家を取り上げていたのに対して、今回は御茶漬海苔、外薗昌也、近藤ようこ、諸星大二郎という、いずれもビッグネームながら一見脈絡ない顔ぶれ。

御茶漬海苔といえば『惨劇館』シリーズのサイコな茶碗頭の自画像が印象深いが、その素顔は……。
なかでも、近藤ようこや諸星大二郎のような作家を「怪奇」という俗っぽい(からイイんですけどね)枠でくくることに対しては、異論を唱える向きもあるだろう。

ガロでデビューし、エロ劇画ブームで仕事を得るも、居場所が見つけられず悩んでいた近藤ようこの転機。それは会ったこともない畑中純からの推薦だった!
しかし、さすがは『ブラック・ジャック創作秘話』の宮崎克。「ホラーという日陰ジャンルで花開いたイノベーターらの立志伝」というシリーズの趣旨どおり、いわゆるマンガ評論ではなく、人間ルポというアプローチから対象に肉迫してゆく骨太かつ、スリリングな語り口がすばらしく、結果、これまで見たことのない作家の素顔が描かれたファン必読の内容となっているのだ。

マンガ家としてそれなりに成功したものの次第に違和感を抱え、スランプに陥っていた外薗昌也。不意に口を突いて出た本音がガチンコ・ホラーに転身するキッカケに……!?