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『こいいじ』(志村貴子) ロングレビュー! 近すぎて絶てない想い。初恋の冷めないアラサー女子の恋路の行方は!?

2015/05/13


泥酔した“まめ”を抱きおこし、連れて帰る聡太。生まれたときから30年にわたる付き合いなのに、この程度で瞳のなかはお星さまでいっぱいに!

泥酔した“まめ”を抱きおこし、連れて帰る聡太。生まれたときから30年にわたる付き合いなのに、この程度で瞳のなかはお星さまでいっぱいに!

とっとと地元を離れればいいのに、“まめ”は銭湯を経営する実家に留まり、聡太も近所で喫茶店を経営している身。2人はいつでも顔を合わすことのできる距離にいるのだ。
こうなると片想いを強制終了するのが、なかなか難しい。

本来はそれが「聡太の結婚」であったはずなのに、春子の急逝でふりだしに逆戻り。聡太と春子の娘・優ちゃんも、すっかり“まめ”になついており、はたから見れば再婚の障害はほぼ皆無である。

ただ、いかんせん聡太にその気がない。
嫌いになるきっかけでもあればいいが、父性を備えた聡太は、どこまでも優しい。脈ナシだということを改めて“まめ”に伝えると同時に、好きだという感情が理屈では割り切れないことも思いやるのだ。

数年ぶりに帰国した初恋の人“ゆめ”と再会し、さすがの聡太も動揺!?

数年ぶりに帰国した初恋の人“ゆめ”と再会し、さすがの聡太も動揺!?

本作には“まめ”以外にも、恋意地の張ったキャラクターがどんどん登場する。みな片想いをこじらせながら、それでも毅然と前を向いて進んでいく。
どのエピソードも切なくて、たまらなく愛おしい。そんななか、一向に次の一歩を踏み出せない“まめ”の片想いだけが、別格の強固さを誇っている。

一方、突如帰国した“ゆめ”の再登場で、聡太も初恋の種火をくすぶらせそうな予感。「あたしなんて、お呼びじゃない」とあきらめたふりをして、まったくあきらめていない“まめ”の恋路ならぬ恋意地が、どのように決着するのか――。
こりゃあ、意地でも見届けないといけませんね。

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『こいいじ』著者の志村貴子先生から、コメントをいただきました!

著者:志村貴子

『こいいじ』を取りあげていただきましてまことにありがとうございます!
初の女性誌連載ということで緊張しておりますが蓋を開けてみればどこで何を描こうとも
マンガを描く難しさは変わりませんでした。
登場するキャラクターがどのように成長していけるのか、また魅力的に描けるのか
私にとっても未知数ではありますが回を重ねるごとにおもしろいマンガになるようがんばります。



<文・奈良崎コロスケ>
68年生まれ。マンガ、映画、バクチの3本立てで糊口をしのぐライター。中野ブロードウェイの真横に在住する中央線サブカル糞中年。出身地の立川を舞台にした映画『ズタボロ』(橋本一監督/公開中)の劇場用プログラムに参加しております。観てね!
「ドキュメント毎日くん」

単行本情報

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