第4位(90ポイント)
『臆病の穴』 史群アル仙
『臆病の穴』
史群アル仙 秋田書店
怪物になってしまった父親と、父親の世話をする娘の物語「怪物父さん」をはじめ、人間のあらがいがたい欲望や、彼らが根源的にかかえる闇を独特のタッチで描くオムニバス。
Twitterで公開したマンガが注目を集めた異色の作家による、初の商業雑誌連載を収録した単行本が、堂々のランクイン。
独学で習得したというペンタッチは、ある種のノスタルジーすら呼び起こすほど個性的なものです。
オススメボイス!
■平成生まれの作者が影響を強く受けた1970年代のマンガのテイストが色濃い作品集。この時代のこの絵だからこそ描くことのできた世界があったと思い出させられる。すごく新鮮(すけきょう/ブログ「ポトチャリコミック」管理人)
■作者はまだ20代だが、手塚治虫など昭和のマンガに親しむことで育まれた画風は、鮮度のある懐かしさを漂わせていて魅力的だ。そして、一つひとつの話のなかで生きづらい人たちがかもし出す叙情と幻想が心にいたく響く。この1冊に全部で14の話が収録されているが、第3話「また夜が来たら」、第4話「めしあがれ」と読んだところで、すでに心がチクチク痛くてプルプル震えて、それでも次の話へ進みたくて不意にページをめくってしまう(稲垣高広/ブログ「藤子不二雄ファンはここにいる」管理人)
■レトロな「懐かしい」絵柄を作りこむことで、現代なのに昭和の空気を描いてる。オムニバス形式でほのぼのからブラックまでの多彩さも見せてくれてよし(soorce/オヤジ漫画系ブロガー)
「日刊マンガガイド」でのご紹介は、コチラ!
第5位(70ポイント)
『百万畳ラビリンス』 たかみち
『百万畳ラビリンス』
たかみち 少年画報社
人と関わるのが苦手で唯一の趣味はゲーム、しかもバグ探しという玖波島礼香(くばじま・れいか)は、ゲーム会社でルームメイトの庸子とともにデバッガーのアルバイトをしていたが、ある日自分の木造アパートによく似たつくりの迷路に迷い込んでしまう。
既視感はあるのに脱出不能、出口のみつからないミステリに悩まされるという斬新かつ不条理な世界感。上下巻同時発売なので、一気読みをオススメします!
オススメボイス!
■お色気作品がメインのヤングコミックの良心(?)『百万畳ラビリンス』がついにコミックス化! いつになったら出るんだと気をもんでましたけど、全2巻同時発売ということになったらしい。和室の迷宮というのは見ていて楽しくて、自分もいっしょにあちこちまわりたい衝動にかられます(いけさん/ブログ「いけさんフロムエル」管理人)
■畳の部屋が連続する光景というものは、じつはそれほど遭遇しないものだ。お城だの、大きなお寺だの、そういう場所へ訪れでもしないと、なかなか……。そう、旅であり観光である。この作品は奇妙な空間、日常と連続しているようでいてきっぱりと断絶している空気感を味あわせてくれる。かねてより背景美術の美しさでもって我々を魅了し去ってきた作家、たかみちの新しい魅せ方であろう。たかみちブルーは抑えられ、畳の光と陰が強調されて閉塞感と無限遠が交互に繰り返される不条理の世界が美しい(raven/ディレッタント)
■上下巻で完結。ストーリーを決めて製作されただけあって、ぶれない主人公。そして与えられた結末の斜め上を飛び越えていくのが物語の主人公らしくていい(マキタマキナ/(成年)漫画愛好家)
第6位(62ポイント)
『ファイブスタ-物語』 永野護
『ファイブスタ-物語』
永野護 KADOKAWA
「モーターヘッド(MH)」と呼ばれる人型機動兵器を駆る騎士たちの闘いを描くSF超大作。
時は魔導大戦のまっただなか。戦局いまだ定かならざる舞台を目指して、主人公のレディオス・ソープと、高い戦闘力を誇る超生命体・ラキシスもいよいよ戦場へおもむく。
途中に劇場作品『花の詩女 ゴティックメード』制作・公開をはさんで、なんと9年ぶりの最新刊。
連載中断からもかなりたっているのにもかかわらずランキング入りとは、さすがの王者の風格を感じさせられます。
オススメボイス!
■9年ぶりの単行本での設定大改編には歴年のファンも度肝を抜かれました。最高にフリーダムな永野護が味わえる極上の一冊です(漫画トロピーク/謎の社会人漫画サークル)
■ここにきて大胆なデザイン変更は賛否両論あるだろうが、マンガ界最先端のデザインは注目せざるをえない(浜波孝至/BOOKSなかだ魚津店営業担当)
■ちゃんと完結するのか不安視されるタイトルとしても有名な「FSS」ですが、発売日には書店で山積みになっていて、人気がまだまだ高いことにちょっと安堵しました。さあ、次は14巻だ!(いけさん/ブログ「いけさんフロムエル」管理人)