第4位（60ポイント）

『死にたがりと雲雀』 山中ヒコ

『死にたがりと雲雀』
山中ヒコ 講談社

待てども戻らぬ父を待ち続ける少女・雲雀は、いわくありげな浪人・朽木が荒れ寺に開いた寺子屋に通うようになる。だんだん朽木に心を開くようになる雲雀だったが、彼女の父が起こした事件が2人の運命を翻弄し始める。
江戸の下町を舞台に“何か”を欠いている者同士が寄り添い生きる様を描いたヒューマンストーリーで、細やかな感情の流れと心の交流が丁寧に描かれました。

オススメボイス！
■掲載誌「ARIA」の読者層とはミスマッチともいうべきお江戸人情もので、それだけで目を引くのですが、それ以上に内容が充実。世代を超えてつながる人々の想いと優しさの鎖に胸を打たれました（いづき／ブログ「オトコでも読める少女マンガ」管理人）
■時代劇苦手ー、なんて思って読んでいない方がいたら、「このオタンチン！そんなこと言ってたら後悔するよ！」と、しかりつけたくなるくらい……いい！　キャラクターもお話も、とにかくいいのです。巻末に平成生まれと女子高生は（読者になってもらうのは時代劇ゆえ）あきらめます、と山中先生がおっしゃっているが、平成生まれと女子高生どころかすべての読者に強くすすめます（宮川元良／「恵文社」通販部 部長）

第5位（48ポイント）

『パレードはどこへ行くの？』 鈴木志保

『パレードはどこへ行くの？』
鈴木志保 秋田書店

動物たちが住む島・サーカス島を舞台に、子豚の「がぶり」と「える」をはじめとする仲間たちが、不思議な冒険を繰り広げる物語。
強くなりたいヒヨコ、クールなオオカミ……さまざまな動物とがぶり＆えるの、忘れられない“パレード”がはじまる。
圧倒的な世界観構築と、生き生きとした動物たちの描写が魅力の作品です。

オススメボイス！
■鈴木志保待望の最新作は、弱く愚かだったり幼かったりする存在が抱える不安と希望を描いている。不穏だけど広がりのある不思議なスケール感が魅力（永田希／「Book News」運営、書評家）
■独特のコマ割りによって織り成されるテンポが心地よくて。丁寧につくられた世界観がすばらしくて。何度も読み返しちゃいました（かとうちあき／「野宿野郎」編集長【仮】）

第6位（42ポイント）

『阿仁谷ユイジ短編集 イタイほどかわいい』 阿仁谷ユイジ

『阿仁谷ユイジ短編集 イタイほどかわいい』
阿仁谷ユイジ 太田出版

BLジャンルで圧倒的な人気を誇り、近年では一般紙での活躍も注目されている阿仁谷ユイジの短編集です。
魔法少女になりたかった少女と特撮ヒーローに憧れた少年の恋の行方を描いた「ヒロイズム前線」、不倫相手の恋敵が自分の初恋相手だった（つまり10年ぶりに再会した彼はゲイになっていた！）という悲喜こもごもを語った「巡恋歌」など、表題作のタイトル通り、女子の“イタイ”部分をまざまざと描写した7つの物語を収録。
作者のシビアな視点による女性の実像が共感を得た模様。

オススメボイス！
■まるでジェンダーSF版『リュウの道』のような、壮大なガジェットを注ぎ込んだ長編『テンペスト』の著者による短編集。『テンペスト』とは、また違った作風が多く見れてgood！（四海鏡／石ノ森章太郎ファン）