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第7位（48ポイント）
『なぎさにて』 新井英樹
『なぎさにて』
新井英樹 小学館
浴びれば即死してしまうほどの猛毒を持つ巨木「ニョロニョロ」が世界じゅうに生育する世界。
一度は小康状態となり、平穏を取り戻したように見えた世界だったが、再びニョロニョロの膨張が始まって、人類はパニックに陥る……。
目の前に広がる異常な世界で生き続ける女子高生・なぎさの視点で描かれる作品。彼女が見た“世界の終末”の景色とは？
オススメボイス！
■突如あらわれた世界を破滅させる植物“ビーンズトーク”。破裂すると液が噴射され、触れると即死。「終わりつつある世界」に人はどう生きるのか、という作品。2巻では登場人物のより細かな背景が描かれ、終末と人間のセクシャルな意味での「性」について触れられ始めた。いつだって世界は終わりつつあるものであるのだが放射能と地震、政治に対する大きすぎる不安感を抱く現代社会がマンガという芸術作品によって、真実を表出させている。「睡眠」をのぞけば「食」と「セックス」が人間というものを構成しているのは三大欲求としてよく知られているところだが、唐突な下着姿の描写などから感じる不安もあり、リアルタイムの世界と折り合いをつけながらこの2巻以降の展開がうまく運んでほしいと望んでいる欲求を持つ自分に気づかされた（今村方哉／レコード会社勤務）
■世界が終わるかもしれない…という終末感が漂う日常で、人は何を感じ、何を考え、どう行動するのか。高校デビューとか大学デビューみたいに終末的状況でデビューしようと試みる人物にスポットを当てているのが興味深い。そんな状況下で発生した「終息厨」「終望」「ポジ滅坊」といった新スラングが妙に印象的だ（稲垣高広／ブログ「藤子不二雄ファンはここにいる」管理人）
■新井英樹の作品はいつも心がえぐられる。大地（弟）がどうなるのかが、ものすごく気になる（加山竜司／フリーライター）
第7位（48ポイント）
『やがて君になる』 仲谷鳰
『やがて君になる』
仲谷鳰 KADOKAWA
高校生の小糸侑（こいと・ゆう）は、中学生の時に男子に告白された返事をできないまま卒業していた。
彼女は、自分と同じく「誰に告白されても相手のことを好きになれない」という生徒会役員の七海燈子（ななみ・とうこ）に自分の悩みを打ち明ける。
最新巻では新生徒会役員となった侑が、燈子に想いを告げられても彼女に特別な感情を持てないことに葛藤します。
2015年12月の「このマンガがすごい！」ランキングにランクインした第1巻に引き続き、安定の人気がうかがえるガールズラブストーリーです。
オススメボイス！
■女子2人の、友情より上ではあるがハッキリと恋人未満であるという、そのボーダーライン上の関係性を丁寧に描かれている。「百合」という概念は友だちから恋人まですべて含むものだろうが、その友だちと恋人の間の状態を意味する単語を生み出してほしいとこの作品を読んで感じた（いのけん／麻雀マンガブログ管理人）
■「自分のことを好きにならない」から「好き」という歪な感情を、百合の微膜に包んで昇華した2巻。矛盾した感情同士の関係が行き着く先が非常に気になります（山本浩平／まんだらけうめだ店コミックスタッフ）
■1巻に続いて今回も超おもしろい。七海先輩が侑にデレてダメになる時の二人の温度差とか、この空気感を出せるのは作家性なのだろう。沙弥香先輩がちくちく入ってくるのも気になる（かーず／個人ニュースサイト「かーずSP」管理人）
「日刊マンガガイド」でのご紹介（第1巻）は、コチラ！
第7位（48ポイント）
『猫ヶ原』 武井宏之
『猫ヶ原』
武井宏之 講談社
ヒトに飼われている証の鈴を太刀にブラ下げる野良侍のノラ千代は、飼い主の権力を笠にきてやりたい放題の飼い猫から、野良の自由を守るために剣をふるう。
まるで時代劇を思わせるハードな世界観とネコのかわいさがあいまって、不思議な魅力に満ちあふれた作品。
『シャーマンキング』の著者・武井宏之の新境地に大興奮ですっ！
オススメボイス！
■猫が斬る、猫が股旅、猫がハードボイルド。一コマひとコマが水墨画のようでかっこいい。外国のお客様に「オススメない？」とお問い合わせをいただいたらこちらを紹介したいです（杉山陽一／CMIC ZIN 秋葉原店 コミックバイヤー）
■『シャーマンキング』の武井先生の新作。猫がかっこいい。そしていとおしい（黒谷貴清／フリー編集者）
「日刊マンガガイド」でのご紹介は、コチラ！
第10位（42ポイント）
『うちのクラスの女子がヤバい』 衿沢世衣子
『うちのクラスの女子がヤバい』
衿沢世衣子 講談社
周囲の人間の表皮が透けて見える、手の指がイカ状に変形する……1年1組の女子生徒たちには思春期のあいだだけ、特別だけれど特に益も害もない超能力・思春期性女子突発型多用可塑無用念力＝「無用力」がそなわっていた。
どこにでもあるごく普通のクラスにいる女子がみんな不思議な力を持つという、一風変わった世界観の作品です。
「少年マガジンエッジ」での連載ながらも、少女マンガのようなタッチ。思春期女子の得体の知れなさを「無用力」というキーワードで、良質の学園ストーリーにしたてた作者の力量には舌を巻くはず！
オススメボイス！
■「思春期の過剰なエネルギー」は、青春モノを描くうえでのキモであり、醍醐味でもあるが、本作はそれを「無害かつなんの役にも立たない思春期限定の超能力＝無用力」というオリジナル設定の超能力に変換して描いているのがユニークでうまい！ 歪で愛らしい女子たち、奇妙かつゆるーい世界観も心地よく、次巻が楽しみ（井口啓子／ライター）
■正確には少女マンガとして発表されているわけではないが、これぞ少女マンガと声を上げたくなる連作シリーズである。SFやファンタジーの要素を含んではいるけれど、普遍的でもあるような思春期の揺らぎ、恋愛や友情と断定される以前の不安定な気持ちをチャーミングなストーリーへと転化させているところに本質がある（森田真功／ライター、ブログ「Lエルトセヴン7 第2ステージ」管理人）
■無用な超能力「無用力」が使える女子高生を主人公としたオムニバス。指がイカゲソになったりの「リアル不思議ちゃん」が登場しつつも青春ほんのりラブストーリーに落ち着いている手腕に初期名作「シンプルノットローファー」からの着実なキャリアの積み重ねを感じる名作。ミクニさんのおにぎり食べたい（すけきょう／ブログ「ポトチャリコミック」管理人）
「日刊マンガガイド」でのご紹介は、コチラ！
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