「あの話題になっているアニメの原作を僕達はじつは知らない。」略して「あのアニ」。
アニメ、映画、ときには舞台、ミュージカル、展覧会……などなど、マンガだけでなく、様々なエンタメ作品を取り上げていく「このマンガがすごい!WEB」の人気企画!
そう、これは「アニメを見ていると原作のマンガも読みたいような気もしてくるけれど、実際は手に取っていないアナタ」に贈る優しめのマンガガイドです。「このマンガがすごい!」ならではの視点で作品をレビュー! そしてもちろん、原作マンガやあわせて読みたいおすすめマンガ作品を紹介します!
今回紹介するのは、『ReLIFE』
「単刀直入に申します。あなたはリライフの被験者に選ばれました」――。
ある日突然見ず知らずの男から、今後1年間の生活費と、その後の就職先の世話をしてやると持ちかけられたニートの海崎新太(かいざき・あらた)。条件は、男の差し出す薬を飲んで若返り、今後1年間を高校3年生として過ごすこと。
「ニートを対象にした社会復帰プログラム」という触れ込みしかり、飲めば見た目だけ若返るという「謎の秘薬」しかり、怪しい。怪しすぎる。
冒頭のセリフのシーンはマジで『笑ウせぇるすまん』っぽいスリリングさすらある。どーん!!!
とまぁ、緊張感ある設定なのだが、主人公の海崎がちょっとまぬけで「愛いやつ」感満載だから、ほのぼのと楽しむこともできる。
海崎は、27歳のいいオトナ。大学院卒の高学歴だが、人生は思いどおりにいっていない。
新卒で入社した会社を3カ月で辞めてからは、親の仕送りに頼る日々。でも友だちの手前、ニート生活を送っているとは言えない。だから飲みに誘われれば、わざわざスーツを着て「いかにも仕事帰り」感を演出。ね、ツライでしょ。当然、実家の親からの風当たりもめっちゃキツイ。
そんなわけで、酒が入って半ば自暴自棄になった海崎は「謎の秘薬」を口にしてしまう。
そして契約どおり、高校3年生としての生活を開始。海崎の「リライフ」、つまり1年かぎりの人生のやり直しが始まったのだ。
しかし、やり直しとは言っても、中身は27歳のまま。編入先の学校のクラスメイトは本物の17歳。うまくやれるのだろうか?
……言わんこっちゃない。登校初日からさっそくやらかす海崎。
荒唐無稽なこの実験、はたしてうまくいくのやら。「リライフ」中の海崎のお目付役として共に高校生活を送る夜明了(よあけ・りょう)は、おもしろがって見ているだけのようだし。
現実には、人生にやり直しは効かない。オトナになればなるほど、そう思い知らされる。だけど、もしも今、「人生をやり直しできる」と言われたら、自分はどうするだろうか。
『ReLIFE』を見ると、それを考えずにはいられなくなる。
胸に苦しい思いを抱えたオトナにこそ、楽しんでほしい作品だ。
『ReLIFE』のアニメを観たあとに……
何を隠そう、「このマンガがすごい!WEB」は、マンガの情報サイト! そんなわけで、アニメ『ReLIFE』をさらに楽しみたいアナタに、読んでほしいマンガを紹介しちゃいますよっ。
『ReLIFE』夜宵草
『ReLIFE』第1巻
夜宵草 泰文堂 ¥650+税
(2014年8月12日発売)
『ReLIFE』の原作は、無料マンガアプリ「comico」で連載中の大人気フルカラーWEBマンガ。現在単行本は第5巻まで発売中。
単行本化にあたって、「comico」掲載時からコマ割りが整理され、より読みやすくなっている。
27歳でニートの海崎が、謎の秘薬で見た目だけ若返り、高校3年生として1年間を過ごすという基本的な設定は同じ。アニメはまだまだ序盤だが、マンガで最新話を読むと驚くほど成長した海崎に出会える。
17歳と27歳。現実の世界ではなかなか接点はないものの、「同い年」のクラスメイトになってしまえば、コミュニケーションをとらざるをえない。27歳の視点を持って高校生活を過ごすことで、海崎は人との接し方や、ものごとへの向き合い方を学びなおしていく。
さて、第5巻では海崎がこれまでに築きあげてきた友人関係に変化が訪れ……。アニメとともに、マンガの世界の海崎も見守っていこう。
『ReLIFE』のコミカライズ以外に、このマンガもおすすめ!
『カンナさん大成功です!』鈴木由美子
『カンナさん大成功です!』第1巻
鈴木由美子 講談社 ¥400+税
(1997年9月日発売)
少女マンガで描かれる「人生のやり直し」。それは「ダイエット」もしくは「整形」と同義語である(個人の見解)。
そこでおすすめしたいのが、『カンナさん大成功です!』。主人公は、神無月カンナ。デブでブスだったが、全身整形で超絶美人に大変身!
これで自信をもって憧れの浩介くんにアタックできる! と思っていたのに、イケメンの浩介くんは、ブスの彼女に夢中であることが発覚する。
すでに何百万円ものお金を費やして全身整形をしたカンナさん、ここで引き下がるわけにはいかん! と、あの手この手で浩介くんを落としにかかる……のだが、もとが恋愛経験の乏しいブスなだけに、恋の頑張り方が分からない。生まれつき天然美人のライバルも登場し、悪戦苦闘を強いられてしまう。
キレイにさえなれば、バラ色の人生が待っているはず! 女なら一度は考える永遠のテーマを、軽快なギャグを交えて描いた傑作だ。
<文・片山幸子>
編集者。福岡県生まれ。マンガは、読むのも、記事を書くのも、とっても楽しいです。