話題の“あの”マンガの魅力を、作中カットとともにたっぷり紹介するロングレビュー。ときには漫画家ご本人からのコメントも!
今回紹介するのは『このマンガがすごい! comics 聖ロザリンド』
『聖ロザリンド』著者のわたなべまさこ先生から、コメントをいただきました!
『このマンガがすごい! comics 聖ロザリンド』
わたなべまさこ 宝島社 ¥1400+税
(2017年2月27日発売)
ロザリンドは金髪に青い瞳、ばらのほおを持つ8歳の少女。天使のようにかわいらしく、心やさしく、だれしも夢中にならずにいられない。
そんなロザリンドはきれいなものが大好きだ。メリィ伯母が大切にしている置き時計を無邪気におねだりすると……「私が死んだら形見にあげる」というそのひと言が、ドラマの発端となる。
この愛らしい少女が史上最悪の殺人鬼だなんて……しかも8歳の女の子がどうやって人を殺すというのか!? その答えは自分の目でとくと確かめていただきたい。
凶行のきっかけとなるのは、素敵なものを手に入れたい子どもらしい欲望だけとはかぎらない。
ロザリンドは、大好きなママの「うそをつくのはいけないこと。うそをついたら罰を受けなくてはならない」という教えを強く信じている。だから彼女はどんなときでもうそはつかないし、またうそをつく人を“絶対に”許さないのだ。
たとえばロザリンドを一番好きだと言った男の子が、ほかの少女に同じことをささやくのを、彼女が聞いてしまったとき。それはかくれんぼ遊びの真っ最中、ロザリンドは彼らが隠れている焼却炉のフタを閉め、そして……。
これはロザリンドにとって、善行のひとつなのだ。彼女は人助けしているつもりでニコニコしながら殺人を犯すこともあり――ともかくその行動のすばやいこと。
ロザリンドは必要を感じたときにすぐさま、呼吸するようにやすやすと殺人を重ねていくのである。