第4位(58ポイント)
『朝まで待てません!』 田中メカ
『朝まで待てません!』
田中メカ 白泉社
水落夕子はマンガ誌の編集者。ライバル誌の編集者である大友順平とは、担当作家が同じだったりすることがある。順平は夕子のことを同業者として尊敬しているだけでなく、恋愛対象もしても意識してしまう。順平に告白された夕子も、順平のことが気になってきて……。
マンガ編集者どうしの恋と仕事を描く本作。真面目で一直線な順平も、仕事第一で敏腕編集者の夕子も魅力的。ひと癖もふた癖もある作家たちとともに、ヒット作を生みだすために奮闘する姿が描かれる。
オススメボイス!
■第2巻にしてさらにパワーアップ。こんなにもニヤニヤが止まらないものでしょうか。テキパキツンツンしているヒロインが、恋愛感情でどんどん崩されていく様子が愛おしすぎます(いづき/ブログ「おとよめ」管理人)
第5位(46ポイント)
『やわらかな鋭角』 多田基生
『やわらかな鋭角』
多田基生 KADOKAWA
週刊誌記者の渡辺は、宗教団体「やすらぎの掌」でご神体として崇められている谷角真を追っている。かつて10年以上前に起きた大火災事故で生き残った真は「奇跡の子」として神格化され信仰を集めていた。願いを必ず叶えてくれる神さまを最初に見たといわれる真のことを調べるうちに、渡辺は何かに気づくが――!?
どんよりとした倦怠感が充満するなか、昏睡状態だった、もうひとりの生き残りが目覚め、そして真の前に「神様」が現れる……。この神様の姿が、真が3歳児の時に描いた絵のまんまで恐ろしい。
オススメボイス!
■どうしてもなんとなく”20世紀少年”のあいつとかと比べてしまうのだけど、それをあえて排除したとして。濃密な2時間半のサスペンスドラマとして成立する不安感が際立っていました。ラストのどんでん返しに期待したい(まだ「こうなるかな」という想像の枠におさまっている)。でもどうしてもあの絵だけが気になる……(なみかわみさき/物書き)
第6位(42ポイント)
『謎のあの店』 松本英子
『謎のあの店』
松本英子 朝日新聞出版
街中に散在し、通りすがりに見かけて妙に気になる「謎のあの店」の数々。特に理由がなければきっと一生、足を踏み入れることのないであろうそんなお店に、実際にお邪魔してレポートするという人気エッセイコミック。完結巻となる今回、最初に訪れるのはなんと「ぢの呪い(まじない)」というポスターで知られる某お寺。お店ではないけど、たしかに謎の「あのお寺」で著者が体験する「呪い」とは?
9年間にわたり、観察眼と好奇心に悩まされる読者たちにかわって、さまざまなお店やスポットに突撃してきた本作もとうとう完結。最終話では、著者が幼少期に銭湯で目にして以来、ずっと心を奪ってきた富士見の名所を訪問。
あいにくの天気で肝心の富士山が見えないという状況をも味わうという、珍スポットめぐりのベテランならではの楽しみ方を披露してくれる。「謎の店」に興味があってもなくても、散歩や観光の際の気持ちの持ち方の参考になる作品。
オススメボイス!
■著者の気になる謎の店に入ってみようマンガ。インテリアや料理や人よりも店内に漂う空気を描写するという唯一無二の観察眼と画力がたまらない。完結が残念(すけきょう/ポトチャリコミック管理人)
第7位(34ポイント)
『さめない街の喫茶店』 はしゃ
『さめない街の喫茶店』
はしゃ イースト・プレス
"さめない"街にある喫茶店「キャトル」で働くスズメ。店長のハクロさんと、のんびりとあまりこないお客を待つ日々をすごしている。現実の「私」がいつもと同じように眠りについたら、この街にきていたようだ。
気鋭の著者が描く、「マトグロッソ」らしいキュートな作品。ドーナツにはじまり、ミントリキュールやフレーバーウオーター、苺のタルト、ケークサレなど、おいしそうな軽食のレシピを眺めながら、「居心地がよすぎる」夢の街の喫茶店ですごす気持ちを味わってみては。
オススメボイス!
■繊細なペンタッチから紡がれる、ファンタジックでイノセントな物語。おいしそうなドーナッツにイチゴタルト……スイーツテロの猛襲を堪能しつつ、物語のなかに流れるささやかな幸福感がたまらない(のみやまみの/イラストレーター)
第7位(34ポイント)
『どうにかなりそう』 岡藤真依
『どうにかなりそう』
岡藤真依 イースト・プレス
ユキは、教師の安藤に恋い焦がれる洋子が保健室で寝ているところにキスしてしまう。そして鈴木君に絵のモデルを頼まれた二宮さんは、鈴木君が自分の足に興味があることに気づいて――。笠井さんはマネージャーの中村さんと付きあっている秀雄のことが好き。秀雄に絵のモデルになってほしいと相談するが……。触れあい、すれ違う高校生たちを描く短編集。
静かに衝撃的なそれぞれの「関係」が淡い色彩で描かれる。初々しくて、不安もあり、かえって大胆になってしまったりもする登場人物のすがたは、軽快でエロティックで儚くて、そしてとてもけなげだ。
オススメボイス!
■甘酸っぱいよー。古めかしくも新しい、この世界観はなんなんでしょうか!(かとうちあき/野宿野郎」編集長(仮))