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【ロングレビュー】88歳のひきこもり“少年(!?)”とノッポの女性公務員が挑む極上ミステリー! 『白暮のクロニクル』 ゆうきまさみ

2014/06/25


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『白暮のクロニクル』 第2巻
ゆうきまさみ 小学館 \596
(2014年4月30日発売)

どれひとつとしてハズレを引いた覚えがない、ゆうきまさみ作品なのだが、公務員が主人公の作品はひとしお愛おしい。

コミック版『機動警察パトレイバー』がまさにそれ。複雑化した社会では、とかく組織がないと物事が動きはしない。一人ひとりは「世の中を良くしよう」という善意で動いているが、それが組織の論理となると歯止めが効かない怪物となる。そのなかの一員として、せめていい方向に転がるようにしようと影で働く小役人のカッコよさ。「みんなで幸せになろうよ」が口癖の後藤隊長からは、そんな社会人のダンディズムを学んだものだ。

雪村魁と出会った伏木あかり。想像を絶するオキナガの生命力を目の当たりにして、悪い夢にうなされながらも彼らを理解しようと努める。

雪村魁と出会った伏木あかり。想像を絶するオキナガの生命力を目の当たりにして、悪い夢にうなされながらも彼らを理解しようと努める。


 なんと今回の新作は人外もの! 主人公・雪村魁は見た目は少年、中味は88歳。心臓を破壊されないかぎりは死なず、日光に弱くて恋人の首筋に噛みつきたくなる――つまり広い意味での定番の“吸血鬼マンガ”であり、その点に目新しさはない。

本作のオリジナリティは、魁が属する不老不死の種族「オキナガ」が政府に保護され、厚生労働省の管轄下に置かれているということ。雪村は殺人事件の歴史について詳しい知識を持つ“探偵”だが、助手の役割になりそうなのが厚生労働省の新米職員・伏木あかり。不死者・ミーツ・公務員! 2人はホームズとワトソン的でもあり、偏屈な独居老人の世話を見る介護士でもあり、見たことあるようで見たことのない間柄だ。

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単行本情報

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