365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
3月26日はプーチンが大統領になった日。本日読むべきマンガは……。
『ムダヅモ無き改革』 第1巻
大和田秀樹 竹書房 ¥619+税
2000年3月26日。前年暮れに突如ロシア大統領辞任を表明した、ボリス・エリツィンの後任を決める選挙が行われた。
最終的に11名の候補者によって争われたが、エリツィン辞任後の3カ月間、大統領代行として指揮をとっていたウラジーミル・プーチン首相が当選した。
プーチンは2008年5月に大統領を退任して首相の座に戻ったが、4年後の2012年5月に再登板。現在のロシアは大統領任期が6年なので、2018年まではプーチンが同職を務めることになる。
プーチンといえばKGB出身のコワモテで、柔道八段という史上最強の大統領。
腕っぷしだけでなく、政治も剛腕で、たった20年弱で強いロシアを築き上げ、国民から絶大な支持を得ている。
冷徹なイメージがある一方で、動物や歌や冗談を愛するお茶目な一面も。
都市伝説レベルのエピソードも続々と出てくる底知れない魅力に満ちた人物なのだ。
そんなロシアの転換点となった記念すべき日にオススメしたいのが『ムダヅモ無き改革』。
各国の首脳同士が麻雀卓を囲んで凄絶な外交を繰り広げるアクション大作だ。
2006年より『近代麻雀』シリーズに不定期掲載されているので、第1話ではまだ小泉ジュンイチローが日本の総理大臣(タイトルはもちろん「聖域なき構造改革」のパロディ)。このジュンイチローが当時の米大統領ブッシュJr.を筆頭に次々と強豪を撃破していくのだが、その徹底したダンディズムがたまらなくかっこいい。
第1巻の終盤では、紆余曲折を経てついにジュンイチローとプーチンが激突。国会議事堂の地下闘牌場で、リミッターの外れた青天井勝負を繰り広げることになる。
漆黒のツーピースと深い琥珀色のカッターで決めたプーチンは本物以上に精悍で、まさに“寄らば斬るぞ”の圧倒的なたたずまい。
激重の劣化ウラン牌を使った死闘のゆくえはプーチンのバルチックフリート(注・そんな役はありません)が炸裂し、勝負あったかに見えたが……。
麻雀マンガではあるが、壮大なスケールの展開と胸躍る必殺技の応酬で、麻雀のルールをいっさい知らなくても楽しめるのが特徴。食わず嫌いをしていた方も、この機会にぜひご一読を。
損はさせませんよ!
<文・奈良崎コロスケ>
中野ブロードウェイの真横に在住。マンガ、映画、バクチの3本立てで糊口をしのぐライター。