日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『このマンガがすごい! comics ケン月影 官能劇画傑作選』
『このマンガがすごい! comics ケン月影 官能劇画傑作選』
ケン月影 宝島社 ¥590+税
(2017年5月17日発売)
ケン月影といえば、1965年にデビューした官能劇画の第一人者。
フランス書院に二見書房と、1900年代後半、成人向け小説&コミックで多くの成年男子(および一部の女子)を興奮させたエロの代名詞的出版社から、数々の名作を送り出した語り継ぐべき漫画家である。
本巻は、氏の妖艶なる作品群のなかでも、ひときわ人気作である時代劇『薬研(やげん)のお銀』シリーズをはじめ、氏自らが選んだ珠玉の短編を再編して発売されたもの。ヒロインは唇左下のホクロが色っぽい美貌の女薬師・お銀で、じつは彼女、裏の顔は江戸にはびこる悪を隠密に裁き、陰で正義の鉄槌をくだす“女仕置人”である。
人情味あり、逆転劇ありと、毎度最後は正義(お銀)が勝つという時代劇らしいストーリーはじつに爽快なのだが、それより何より、昭和を代表する名うて官能劇画作家の作品だけに、悪漢が起こす事件もエロけりゃ、お銀が講じる策もあまねくエロい。事件を解決、被害者の復讐をはたして恨みをはらすべく、その美貌と艶めかしい肉体を惜しみなく使うお銀の姿、素敵な淫乱ぶりときたら……いや、もう、鼻血ブーですよ。
そんな男総勃ち、女総濡れ必至のリアルで激しい性交描写以上に、もっとたまらなくセクシー極まりないのは、氏の描く成熟した女の体だ。服を着ていようがいまいがはっきりとわかる、すべての男を誘うようなあの尻のカタチ。脱いだら脱いだで、ほどよく垂れた感じがますますエロい豊満なおっぱい。いやぁ~、同性の筆者であっても、妬くというより欲情してしまう、柔らかそうなわがままボディぶりなのだ。
しかも!そんな顔も体もあそこも“上物”の女を、冴えないおっさんが、ときに本能で、ときに金にものをいわせて、そしてたいがいお銀の策略によって、女と交わる卑猥さときたら……!
ほら、もう読みたくなってきたでしょ?(笑)
続きはどうぞご自身でお楽しみください。江戸を舞台に描かれた、昭和感たっぷりの“ザ・官能”マンガ。1ページ目から、期待以上のエロスが、裏切ることなくあなた(のどこか)を熱くさせてくれます。
<文・藤咲茂(東京03製作)>
美酒佳肴、マンガ、ガンダム、日本国と陸海空自衛隊をこよなく愛し、なんとなくそれらをメシのタネにふらふらと生きる編集ライター。