日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい！WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー！

今回紹介するのは、『古見さんは、コミュ症です。』

『古見さんは、コミュ症です。』 第5巻
オダトモヒト 小学館 ￥429+税
（2017年7月18日発売）

ついに人間関係が動き始めた。

人と話すことが極端に苦手なあがり症少女・古見さん。
その姿が美しいばかりに周囲からはクールビューティだと勘違いされがち。
本当は親しい友だちがほしいのに、気持ちを理解してもらえないまま高嶺の花扱いされて奉られ、孤立してしまっていた。
じつはもっと普通の子なんじゃないか、と彼女に踏みこみ、筆談で会話をしてくれた只野くんは、一筋の光明だった。

以降、コミュ力モンスターの長名（おさな）、同じように内気な上理（あがり）、空気の読める姉御肌の尾根峰（おねみね）など、彼女のことをうっすら理解しはじめた「友人」が増えだした。
古見さんも自分からちょっとずつ声をかけられるようになってきた。

第5巻では、彼女の胸に不思議なモヤモヤが生まれ始める。
只野くんがほかの人と話していると、なんだか落ちつかない。
なるほど古見さん、芽生えちゃいましたね。

文化祭では、今までは参加できなかったイベントを体験。少しでも楽しみたいと、勇気を振り絞る。
女装させられた只野くんといっしょに、今まで経験したことがないほど、たくさんの思い出をつくることができた。
只野くんは、古見さんを一生懸命エスコートしているうちに、胸の高鳴りを覚える。

話をしっとりまとめつつ、空気が堅い時は長名がひっかきまわし、ヤバそうな時は尾根峰がフォローしているため、非常に安心してギャグマンガとして読める。
まだまだ彼女のコミュニケーション能力は高いとはいえないけれども、ゆっくり一歩ずつ、人間関係が進展している。
さて。友だち100人できるのと、只野くんとつきあうようになるの、どっちが先かな。

＜文・たまごまご＞
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」