『Axis powers ヘタリア』第1巻
日丸屋秀和 幻冬舎 \556+税

1929年10月24日、ニューヨーク証券取引所で株価が大暴落した。これを端緒として世界的規模の経済不況（世界大恐慌）が起き、10月24日は「暗黒の木曜日」として記憶されている。

『Axis powers ヘタリア』は、各国の歴史をモチーフとした国擬人化コメディである。
コミックスや関連書籍が大ヒットし、アニメ化もされた大人気作品で、最近は集英社が運営するwebサイト「少年ジャンプ＋」でも連載がはじまり、もはや「一時的なブーム」ではない、息の長いロングヒット作となった。

『ヘタリア』には「暗黒の木曜日」を題材としたエピソードがある。それが「出稼ぎリトアニア」シリーズだ。リトアニアがアメリカの家に居候するストーリーで、第一次世界大戦後、リトアニアでは人口の約3分の1が職を求めてアメリカに渡った歴史事実をベースにしている。
アメリカとリトアニアの同居生活がやけにほほえましく、やがて世界恐慌を引き起こす「アメリカクオリティ」も存分に発揮される。
あと、やっぱりロシアは「おそロシア」だ。

なお、この「出稼ぎリトアニア」シリーズは単行本未収録。そのため、単行本派の読者は、もしかしたら未読かも？
作者・日丸屋秀和自身のwebサイト「キタユメ」にはアップされているので、そこで読むことができる。各方面に広がりを見せる『ヘタリア』ワールドだが、本家も忘れずにチェックしよう。

＜文・加山竜司＞
『このマンガがすごい！』本誌や当サイトでのマンガ家インタビュー（オトコ編）を担当しています。
Twitter：@1976Kayama