『東村アキコ解体新書』
東村アキコ(監)講談社アミューズメント出版部(編) 講談社 \900+税
(2014年12月12日発売)
能年玲奈主演で映画化された『海月姫』が、絶賛公開中。
『このマンガがすごい!2015』で、最新作『東京タラレバ娘』と『かくかくしかじか』がランクイン。
さらに過去に遡って調べてみたら、『ママはテンパリスト』に『ひまわりっ ~健一レジェンド~』に『きせかえユカちゃん』……と、歴代『このマンガがすごい!』上位ランクイン率、すごすぎでした……。
とんでもなく多作、そして、どのマンガもめっぽうおもしろい! そんな驚異の大人気漫画家・東村アキコに、多方面から迫っているのが本書だ。
内容は、これから読む人にも忘れっぽい人にも役立つ、デビュー作から最新作までの全作品ガイドや、漫画家を目指す人必読の「東村アキコ(秘)ロングインタビュー」。アシスタントや歴代担当編集者たちが語る東村アキコは読みごたえがあるし、『ママはテンパリスト』のごっちゃん(東村の息子)、『ひまわりっ ~健一レジェンド~』の健一(実父)、おまけマンガで人気の豊国印刷の小池さん(……へんなひと?)インタビューまであって、サービス精神満載の構成だ。
「締め切り直前の東村プロ」への密着取材はもちろん興味深いけれど、東村本人がこの日のことをあとがきでマンガ化しており、ここに取材者と被取材者の反転を見ることができる。
これがまたとてもおもしろくって、マンガのキャラクターのほとんどが実在人物をデフォルメしたものだという東村の観察眼(や、それを作品へ昇華させる力)がいかにすごいのか、このあとがきでも知ることができるのだった。
ほかにも、単行本未収録の初期短編も収められているし、大満足、大充実の1冊であります!
<文・かとうちあき>
人生をより低迷させる旅コミ誌『野宿野郎』の編集長(仮)。野宿が好きです。だらだらしながらマンガを読むのも好きです。