『W7 新世紀ワイルド7』
望月三起也 実業之日本社 \5,000+税
(2014年11月28日発売)
物語はアメリカ・ネバダ州より幕を開ける。
ロス発ベガス行365便の特別編成列車の、移動しながら踊り子のセクシーショーが楽しめるショータイム車輛内で銃乱射事件が発生。殺されたのは麻薬ディーラー組織の幹部、殺したのは――舞台で踊るストリッパーだった!
のっけからグッとくる展開で読む人を釘付けにするのが望月三起也流。
『W7 新世紀ワイルド7』は、こんな出だしでまたもや我々を惹きつけてくれる。
1969年から少年画報社「週刊少年キング」で連載開始、10年もの長きにわたるロングヒットとなったアクションマンガ『ワイルド7』。連載中にテレビドラマ化、連載終了後もアニメ化、実写映画化もされた本作は、マンガも多数の続編を生み出してきた。
その続編も、『新ワイルド7 野獣伝説』、『続・新ワイルド7 野獣の紋章』、『飛葉 ~もうひとつのワイルド7~』、『ワイルド7R』と、どれも衰えを知らぬ筆致の傑作ぞろいだ。
主人公はもちろん「飛葉ちゃん」こと飛葉大陸(ひばだいろく)。アメリカの田舎町で保安官の職についていた飛葉は、日本で起こった少女誘拐事件解決のために長崎に連れ戻される。
じつはこれが高度に政治的問題をはらむ事件で、草波検事総長は飛葉に新たな仲間を紹介。新しいワイルド7が誕生した。
街中のカーチェイス、銃撃戦、そして一同驚愕のどんでん返し……と、息をもつかせぬスピーディな展開は映画的魅力にも似て、読む者の血をたぎらせる。
今回は、シリーズ初の全ページカラー作品。
電子配信雑誌「KATANA」にて、足かけ5年にわたり掲載された作品を単行本化したもので、価格もびっくりする値段だが、おそらく二度とこんな機会はあるまい。まさに「乗るしかない、このビッグウェーブに」的な逸品である。
<文・富士見大>
編集プロダクション・コンテンツボックスの座付きライター。『衝撃ゴウライガン!!兆全集』(廣済堂出版)、『THE NEXT GENERATION パトレイバー』劇場用パンフレット、平成25年度「日本特撮に関する調査報告」ほかに参加する。