特定ジャンルに詳しい「目きき」の人たちに、テーマ・著者・出版社……といったカテゴリ別に、必読のマンガ作品を教えてもらうコーナー、その名もズバリ「目ききに聞く」!
「いつか、大好きな本に囲まれてすごせたらいいな……」
本好き、マンガ好きが一度は思い描くそんな思いがカタチになったのが、東京・渋谷にある「森の図書室」。テレビ朝日の人気バラエティ番組『アメトーーク』内の企画「読書芸人」の撮影場所としても利用されたことでも話題に。
当初はオーナーの森俊介さんの蔵書から始まって、クチコミで話題となった今は、お客様をはじめ様々な方から寄贈本が贈られるようになり、昼間も夜間も多くの読書ファンが訪れる、知る人ぞ知る憩いの場所となりました。
森さんの本をたくさん読んでほしいという思いから、森の図書室にはマンガはあまり置かれていないのですが(とはいいつつも、読書あるあるマンガ『バーナード嬢曰く。』(施川ユウキ)を置いているのはさすがです)、じつは森さんは、子どもの頃から筋金入りのマンガファン! 現在は「週刊ヤングジャンプ」を毎週楽しみにしているようです。
今回は、そんな森さんに、今の自分をかたちづくっているマンガがなんなのか、うかがいました。
森俊介さんイチオシの3作品
『失恋ショコラティエ』水城せとな
『失恋ショコラティエ』第1巻
水城せとな 小学館 ¥400+税
(2009年1月9日発売)
つきあっていたと思ってた彼女に振られた主人公が、フランスで菓子作りの修行を経てショコラティエとして再開することで始まるラブストーリー。
松本潤&石原さとみで2014年にはドラマ化もされました。
たまたま友だちにすすめられてドハマリしました。
主人公・爽太にとっての「ショコラ・ヴィ」(注:彼が開店したショコラ専門店)が、僕にとってはここ(=森の図書室)なんです。
たとえば昔つきあってた彼女がここに来た時に、自分のことをどう思ってくれるのかな? とか、なんとなく重ねて考えてしまうんですよね……。
それゆえに、ラストは切なかったです! 一度は報われるようなこともあったのに……それほど感情移入してしまうマンガなんです。
『バンビ~ノ!』せきやてつじ
『バンビ~ノ!』第1巻
せきやてつじ 小学館 ¥505+税
(2005年3月30日発売)
料理の腕に自信があり「最高のイタリア料理人になる」と決心した大学生・伴省吾が、東京のトラットリア「バッカナーレ」で様々な試練に立ち向かい、料理人として成長する姿を描く。
このマンガは、セリフがとにかくアツくてかっこいいんです!
「男はね、初めっから男やなかよ。男に“なる”もんたい」とか……。
バンビの成長する姿にも共感すると同時に、数々の名セリフにゾクゾクする作品です。
余談ですけど、これも2007年にドラマ化していて、主演が松本潤。
狙ったわけじゃないんですが、奇妙な偶然の一致ですね(笑)。
『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』三条陸(作)稲田浩司(画)堀井雄二(監)
『集英社文庫 ドラゴンクエスト ダイの大冒険』第1巻
三条陸(作)稲田浩司(画)堀井雄二(監) 集英社 ¥600+税
(2003年6月発売)
僕がダントツに好きで、今でも大掃除の時に部屋の片づけなんかしていると、作業を忘れて読みふけってしまうほどのマイフェイバリット・マンガです。
セリフなんか今でもほとんど復唱できるんじゃないかな……。
小学生のころに、おこずかいをやりくりして単行本を買ったり、「週刊少年ジャンプ」を読んだりしていました。『ダイの大冒険』は、それこそリアルタイムで読んで、今でも大好きすぎる作品です。
基本は的には勇者・ダイの物語なんですが、僕が好きだったのは魔法使いのポップでした。ドジだったり、臆病だったりと、読んでいる僕らと変わらない等身大のキャラクターに、共感したんだと思います。
同じパーティの僧侶戦士・マァムとの恋愛や、仲間のために逃げ出そうとするシーンなど、今でも鮮明に覚えていて、語りつくせないほどの思い入れがあります。そういえば、おでこにドラゴンの紋章を描いていた友だちもいたな……。
番外編
『I"S(アイズ)』桂正和
『集英社文庫 I"S(アイズ)』第1巻
桂正和 集英社 ¥660+税
(2012年8月17日発売)
主人公の高校時代を通じて出会った少女たちとの、キラキラした恋愛とせつない別れを描く、SF・アクションで人気作家となった桂正和のピュアな恋愛ストーリー。
これも第1巻から読み返して、最終巻まで一気読みして必ず泣く(笑)という作品。
幼なじみの秋葉いつきちゃんのけなげさにやられちゃうんですよね……。
様々な女の子が登場するんですけど、いろいろ悩んだ結果、やっぱり一番の“推し”はいつきちゃんですね。
伊織ちゃんもかわいいんですけど、ちょっと愛情表現が足りなすぎませんか? ……つきあうほうはちょっとたいへんそうだな、と感じました。
あとは、外見は伊織ちゃんに似ているけど、性格はいつきちゃん似の後輩・磯崎泉も、かわいくて好きです。