日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『デストロ246』
『デストロ246』第6巻
高橋慶太郎 小学館 ¥552+税
(2015年10月19日発売)
東京、横浜を舞台に、女子高生殺し屋同士の戦いや生き様を描く高橋慶太郎によるアクション作品。
南米のマフィアに飼われていたところ東京の富豪に復讐の道具として買われたメイド服の殺し屋、翠(すい)と藍(あい)。
西東京の巨大学園に通う小柄な殺し屋・伊万里(いまり)。
横浜を牛耳るヤクザの跡取りである万両苺(まんりょう・いちご)とそのボディガードの蓮華(れんか)と南天(なんてん)。
CIAの殺し屋・紅雪(べにゆき)。翠と藍が敵対する五角(いすみ)グループが雇う殺し屋・沙紀(さき)。
登場する殺し屋はすべて女性しかも、翠、藍、伊万里、苺、蓮華、南天は女子高生だ。
もちろん、男性も出てくるが、おもしろいように簡単に殺されてしまう雑魚ぞろい。
高橋慶太郎の前作となる『ヨルムンガンド』から定評のあるガンアクションは、今作でも抜群の輝きを放っている。
日本の街なかで真っ昼間から殺しあったり、多くの殺人が簡単にもみ消されたりするところは、ある意味SFチックというかファンタジー的でもある。
まあ、そこらへんはマンガ的というよりは、ハリウッド的と言ったほうが近いかもしれない。
物語的には、翠と藍が中心に動いてはいるものの、伊万里が主人公であると思われる描写も多く、主人公不在の物語な感もある。読者は、彼女らの物語を傍観者的に、観測者的に観ている感じだ。
そもそも伊万里が主人公として描かれている『Ordinary±』という作品が高橋慶太郎のデビュー作であったこともあり、伊万里よりになりやすいのも当然か。
『ヨルムンガンド』では、主人公・ココの私設軍隊の仲間ひとりずつに、スポットライトを当てながら物語が進行していった。すべての人物の物語が終わったところで、最終章へとつながっていく。
『デストロ246』もその傾向があり、単行本の表紙を飾る人物が物語の中心となる。
第1巻では藍、第2巻では翠、第3巻では苺、第4巻では伊万里、第5巻では南天。
今回は、万両苺の2人のボディガードの片方である蓮華にスポットが当たっている。翠と藍の雇い主であった実業家・透野隆一の残した遺産500億を狙って、先走る。
多少のエロ描写とグロ描写があるので、それらに弱い人にはたいへんかもしれないが、ほかでは類を見ない狂気の描写と独特の世界観は、ハマる人も多いのではと思います。
<文・岡安学>デジタルモノなどのガジェット系を中心に雑誌やWebで活動するフリーライター。元ゲーム誌編集者で、ゲームやアニメ、マンガなどのメディアも守備範囲。ソフトとハードのどちらもこなす。現在、生活総合情報サイト「オールアバウト」にてデジカメのガイドも務める。