365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
1月8日はスティーヴン・ホーキング(物理学者)の誕生日。本日読むべきマンガは……。
『キン肉マン』第39巻
ゆでたまご 集英社 ¥400+税
1月8日は理論物理学者であるスティーヴン・ホーキング博士の誕生日。
“車いすの物理学者”として多くの人に認知されている面もあるが、業績においては、なんといっても「ブラックホールの特異点定理」を発表したことで知られる。
またそれだけではなく、高度すぎてふつうの人にはさっぱり理解できない! という感もある現代宇宙論を、『ホーキング、宇宙を語る』などの著書によって一般層向けにも平易に解説し、広めたという功績も大きい。
そんなワケで、今日はホーキング博士にちなんでガチのSF作品を……とも思ったのですが、「ブラックホール」の認知度をある意味で飛躍的に高めたマンガといえば、やっぱり『キン肉マン』ですよね!(断言)
あの「7人の悪魔超人編」で初登場した悪魔超人のひとりであるブラックホールは、顔面に穴が開いているじつにキャッチーかつ不気味なルックス、そしてその穴が異次元空間につながっているという、それまでの敵とは文字どおりに次元の違う能力で、強烈に記憶に残るキャラクター。
登場するなりバッファローマンとのコンビネーションでウォーズマンを撃沈し、ギャグテイストの強かった作風を一気にシリアス路線へとシフトさせた立役者でもある。
過去のコメントで著者のゆでたまご自身も「屈指の傑作」であると語っており、読者の人気も非常に高い。
もっとも、おおよそ正統派とは言いがたい戦闘スタイルであるがゆえ、キン肉マンに敗退して以降はペンタゴンと結成した「四次元殺法コンビ」も最弱の扱いを受けるなど、しばらくは辛酸を嘗める時代が続いていたのだが、2011年よりWeb上にて連載が再開された『キン肉マン』においては、まさかの正義超人軍と完全共闘。
しかも、大方の予想を裏切り(?)、ダルメシマン戦とジャック・チー戦に2連勝というすばらしい戦績を収めている。
最近は異次元空間を駆使する能力が、なんとなく仲間の移動手段として便利に使われてしまっている感がなきにしもあらずだが、まだまだ今後の活躍にも期待といったところだろう。
ところでスティーヴン・ホーキング博士はSF作品の愛好者としても知られており、『新スタートレック』にホログラムで出演したり、オタクコメディの『ビッグバン★セオリー』には本人役で登場してブラックなジョークを披露したりと、かなりシャレが通じるご様子。
機会があれば、ブラックホールの異次元空間から「ホワイトホール」と称したオナラで脱出するキン肉マンに、どんな反応を示すのか見てみたいものですね。
<文・大黒秀一>
主に「東映ヒーローMAX」などで特撮・エンタメ周辺記事を執筆中。過剰で過激な作風を好み、「大人の鑑賞に耐えうる」という言葉と観点を何よりも憎む。