365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
2月26日は脱出の日。本日読むべきマンガは……。
『鬼畜島』第1巻
外薗昌也 竹書房 ¥600+税
本日2月26日は「脱出の日」なる記念日。
これは1815年のこの日にナポレオンが流刑に処されていたエルバ島を脱出してパリへ向かったことにちなむもの。
もっとも、フランス国民には熱狂的な歓迎を受けて政権復帰となったナポレオンも、そのわずか100日後には「ワーテルローの戦い」に敗北し、今度はほぼ脱出不可能と言われた南大西洋の孤島・セントヘレナ島へと流刑にされてしまい、そのままそこで生涯を閉じることになるんですけどね……。
ということで、本日紹介するのはもちろん「脱出」を描くマンガ作品。
といっても、脱出サバイバルを扱う作品というのも本当に枚挙にいとまがないほど多くあるわけですが、「島からの脱出」が目的で、かつだれもが一刻も早く脱出したいと思うであろう『鬼畜島』を今回は紹介しておきたい。
本作の舞台となるのは、とある事情によって地図からも抹消された廃墟の島・菊池島。
そこに大学の廃墟研究サークルが訪れるのだが、無人島であるはずの場所で人影を目撃。もしや遭難者? とメンバーのひとりが救援に向かったところ、その正体は遭難者どころか豚の顔をした殺人鬼!
やがて全員が上陸を余儀なくされるワケですが、乗ってきたクルーザーは沈没したうえ外部とは連絡不能だわ、さらに主人公はその途中で海底に放射性物質が大量に廃棄されているのを発見するわ、殺人鬼はもはや人間ではない怪物的な変異を遂げてるわ……と、これ以上ないほど絶望的な状況に。
しかもサークルのメンバーがことごとく利己主義のクソ人間、おまけに救援に来たかと思われた人物も殺人鬼とどっこいのド外道!
人間関係的にも最悪で、こんなに心から脱出したい状況は、たとえフィクションでもなかなかお目にかかれるものではありません。
そんな救いがなさすぎる島からいかに主人公たちが脱出するのか、現在も連載中の作品だけにその結末に注視したいところ。
「脱出の日」に紹介するにはまったくふさわしくない、だれも脱出できないというバッドエンドを迎えないよう、遠くから祈っております……。
<文・大黒秀一>
主に「東映ヒーローMAX」などで特撮・エンタメ周辺記事を執筆中。過剰で過激な作風を好み、「大人の鑑賞に耐えうる」という言葉と観点を何よりも憎む。