今回紹介するのは、『ストレンヂフルーツ』
『ストレンヂフルーツ』第2巻
アサダアツシ(作) 石川樹(画) KADOKAWA ¥580+税
(2016年5月10日発売)
鈴木椿は、6歳の自分の目の前で、女の子が死んでいる……という夢を見た。
10年後地元に戻ってきた彼女は、幼なじみの森田美佳、宮本萌子と再会。
町はすっかり変わったけれど、3人でまた楽しく暮らせる、と思っていた。
ところが、死んだ女の子・山崎杏奈の夢は、椿だけでなく美佳と萌子も見ていた。
耐えられなくなった椿は、女の子の失踪と死が事実なのか、真相を探り始める。
山崎杏奈の失踪をめぐり、椿が町の秘密に迫っていくミステリー。気になるフックが多すぎる。
萌子の薬指が義指なこと、山崎杏奈の事件が警察の記録に残っていないこと、
3人が同時に山崎杏奈の夢を見ていること、うろついているガスマスクの男、
突然町に現れる深い霧、なぜか椿に擦り寄る大富豪の娘、何かの薬、立入禁止の公園、
突然の頭痛、「ドンヅルボ」の噂。関係があるのかないのか、わからないことが次々出てくる。
第1巻は状況説明。第2巻は事件にまつわる多数の断片がぶちまけられた段階。
タイトルの「ストレンヂフルーツ」の語も第2巻最後にやっと登場、謎解きがスタートする。
3人はずっと女の子の夢に追いつめられており、息苦しい展開が続く。
そんななか、第2巻で彼女たちがライブをするシーンはかなり気持ちいい。
もちろん遊びではなく、謎解きにつなぐための行動だ。
同時に、もう山崎杏奈事件に振り回されない、これからは私たちが解き明かす、
という反撃の狼煙でもある。
少女たち3人が全力で悪夢に立ち向かい、晴らしていくのが見たい。
でも3人がひどい目にあって、もがき苦しむ様の描写がうまいもんだから、そっちも見たいんだよなあ。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」