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『ファイアパンチ』(藤本タツキ)ロングレビュー! 第1話からパンチ効きすぎ!? 連載当初から話題の超注目作がついに単行本化!!

2016/09/14


話題の“あの”マンガの魅力を、作中カットとともにたっぷり紹介するロングレビュー。ときには漫画家ご本人からのコメントも!
★今回、著者の藤本タツキ先生からコメントをいただきました! 藤本先生の貴重なコメントは記事の最後(3ページ目)にて!!

今回紹介するのは『ファイアパンチ』

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『ファイアパンチ』 第1巻
藤本タツキ 集英社 ¥400+税
(2016年7月4日発売)


マンガの主人公をヒーローたらしめるのは、その英雄的行為にほかならない。

そして英雄的行為の最たるものは、自己犠牲だろう。

自己犠牲の種類は、だれかのために戦うとか、身代わりになるとか、作品やテーマに応じて様々である。
たとえば日本を代表する国民的ヒーローは、自分の顔を食糧として他者に供出するという究極の自己犠牲の姿勢を長年にわたって見せ続け、日本人は幼児期から“ヒーローかくあるべし”の姿を刷りこまれて育つ。

極寒のなか、村人の飢えを満たすためにアグニはルナに“作業”をうながす。

極寒のなか、村人の飢えを満たすためにアグニはルナに“作業”をうながす。

本作『ファイアパンチ』の主人公アグニは、生まれながらに奇跡が使える「祝福者」である。アグニの「祝福」は再生能力であり、どのような負傷もたちどころにいえる。
雪と飢餓に覆われた世界で、アグニは自分の腕を切り落とし、それを食糧として村人たちに配りながら妹のルナとつましい生活を送っていた。アグニの自己犠牲の精神が、食糧難の寒村を、かろうじて生きながらえさせていたのである。

しかし、アグニの肉体は、工場で生産された加工品ではない。れっきとした人肉だ。
人類は歴史上、世界中のどの地域でも、人肉食を禁忌としてきた(敵を我が身に取りこむという呪術的祭礼を例外にすれば)。
人肉を食べることで命脈を保ってきた村は、事情を知らない外部からは、禁忌を犯し続ける食人族の集落と見えるのではないだろうか。

単行本情報

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