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【インタビュー】宍戸義孝『「銀河機攻隊マジェスティックプリンス」 はじまりの少女、約束の螺旋』 ネタバレ必至!! 小説版×TVアニメ×劇場版の超重要なリンクを大解説!!

2016/10/31


人気漫画家のみなさんに“あの”マンガの製作秘話や、デビュー秘話などをインタビューする「このマンガがすごい!WEB」の大人気コーナー。

今回お話をうかがったのは、宍戸義孝さん!

いよいよ今週、11月4日(金)から公開を控えた『劇場版マジェスティックプリンス 覚醒の遺伝子』!! 2013年にテレビアニメが放送され、ロボットアニメファンの心をつかんだ話題作である本作は、「このマンガがすごい!WEB」でオリジナルノベルの連載がスタートし、単行本も9月に発売されました。

このノベルの執筆を手がけた宍戸義孝さんは、劇場版の脚本も手がけた人物!! テレビアニメシリーズと劇場版へと物語がつながる、「ある過去」をシリアスかつハードに小説で描き、話題となっています。
前回、この小説の制作秘話をたっぷりとインタビューでうかがいました!

<インタビュー第1弾>
【インタビュー】宍戸義孝『「銀河機攻隊マジェスティックプリンス」 はじまりの少女、約束の螺旋』 ついに11/4(金)劇場版アニメが公開!! アニメでは描かれなかった、登場人物たちの過去が小説で明らかに!? 

今回のインタビュー第2弾では、さらに小説の魅力に迫るとともに、ここでしか聞けない劇場版と小説の重要なリンクを宍戸さんにお話いただきました!

著者:宍戸義孝

宮城県出身。株式会社ディプレックス所属。
2007年に脚本家としてデビュー後、『スティッチ!』『フォトカノ』などTVアニメの脚本を手がける。

2016年11月4日公開予定の『劇場版マジェスティックプリンス 覚醒の遺伝子』の脚本を務める。

主人公・トウマの悲しい「さよなら」……
そしてひとりの少女の変化が、未来の地球を救う鍵となる!!

――最初に提出された小説版のプロットは、どんな内容だったのか教えていただけますでしょうか?

宍戸 最初から“地球に帰る手段を得たのに、結局帰らなかった人”というお話で提案したので、プロットの段階で、もうある程度ストーリーはできあがっていました。最初に描いて提案したのは、現状の小説版16話まで、といえばいいでしょうか。だから、じつは主人公のトウマは最初から死ぬことは決まっていたんです。

最初は自分の運命にほんろうされながらも、ウルガル人たちとの戦い、そしてオーレリアとの日々を経て、ひとりのヒーローとして成長していくトウマ。

最初は自分の運命にほんろうされながらも、ウルガル人たちとの戦い、そしてオーレリアとの日々を経て、ひとりのヒーローとして成長していくトウマ。

――トウマは、状況に流されつつも、だんだんヒーローっぽい行動を取るようになっていきますよね。

宍戸 そうですね。最後に彼は自らを犠牲にして死んでしまいますが、そこまでもっていく心理描写はすごく難しかったですね。そこで大事になると考えたのが、まずはオーレリアとの関係をつくることでした。

――どちらかというと内向的なキャラかと思いきや、トウマは最後はかなり熱いキャラになっていましたね。

宍戸 基本的に死にたがる人なんていないじゃないですか。だからあの最期をむかえるに至ったのは、時間がないなかで判断を迫られたトウマが、地球に戻って地球を救うことよりも、オーレリアとの積み重ねてきた関係性や想いなどから、彼女を助けることを直感で選択したからなんですよね。トウマは作中でボヤいたり悩んだりしてますが、あまり考えこむキャラクターではなく、どちらかといえばその場の勢いで動く熱血キャラだと思います。

TVアニメに登場するアサギ・トシカズも、普段は落ち着きある青年だが、意外と熱くなりやすい(そしてメンタル面と胃が弱い)。劇場版ではどんな活躍を見せるのか?

TVアニメに登場するアサギ・トシカズも、普段は落ち着きある青年だが、意外と熱くなりやすい(そしてメンタル面と胃が弱い)。劇場版ではどんな活躍を見せるのか?

――小説を読んでいて印象的だったのが、「笑顔でさよならを」と言っていたトウマが、それを一度も叶えることができなかったという点です。

宍戸 このセリフはあまりポジティブな意味の言葉でなく、トウマ自身の人生が辛いことばかりだったから別れる時くらいは笑顔でいたいという願い、目標なんです。結局、トウマは最期のシーンまでそれを達成できていません。逆に“別に笑顔でさよならをしなくてもいい”とその願いを否定してしまっています。

――オリバーとの別れのシーンも、笑顔を浮かべる側はトウマではなくオリバーでした。トウマがやりたいと思っていることを、まわりの人がかわりに叶えてしまうというのが非常に切なく感じました。

宍戸 本人が達成できなくとも、まわりにそれが伝わっていけばいい、というのが小説版のひとつの構造です。それが小説版のヒーロー像みたいなところにも通じていると思います。たとえばヒーローものとしてヒーローを描くのとは別に、僕は本書では“憧れられる人”、“だれかのお手本になる人”をヒーローと定義しているんです。

今回、劇場版の脚本と小説の執筆を手がけた宍戸さん。「マジェプリ」の世界観がさらにひろがる魅力的な物語を生みだした。

今回、劇場版の脚本と小説の執筆を手がけた宍戸さん。「マジェプリ」の世界観がさらにひろがる魅力的な物語を生みだした。

――ほかに今回の物語を考えるうえで軸にしていたテーマなどはあるのでしょうか。

宍戸 もうひとつの小説版最大のテーマは、テオーリア[注1]の行動原理を描くということです。テレビシリーズでは、「なぜ彼女が地球人に加担しているのか」ということがほとんど描かれてなかったんです。まずそこを補完するために、テオーリアが旅立つ理由、行動原理、理由、生きる過程を描こうと考えました。そこから逆算して、第1話から書き始めましたね。

――もうひとりの主人公と呼べるオーレリアが、だんだんと愛を知って変化していく、という部分が娘・テオーリアの行動原理につながる部分でしょうか。

宍戸 その変化はテオーリアに受け継がれたもののひとつです。外見的にはウルガルだけど内面的には異端というキャラを心がけました。

アニメでは幽閉されている事実しか語られてこなかったオーレリア。彼女の変化が、「マジェプリ」全体の物語のキーとなる!

アニメでは幽閉されている事実しか語られてこなかったオーレリア。彼女の変化が、「マジェプリ」全体の物語のキーとなる!


  • [注1]テオーリア ウルガルの皇女。オーレリアの遺伝子上の娘であり、ジアートの妹。ウルガルの進撃をうけ窮地の地球を救うため、母・オーレリアの意思を継ぎ、地球軍に技術や遺伝子提供などのサポートをする。

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