話題の“あの”マンガの魅力を、作中カットとともにたっぷり紹介するロングレビュー。ときには漫画家ご本人からのコメントも!
今回紹介するのは『カードキャプターさくら クリアカード編』
『カードキャプターさくら クリアカード編』掲載誌、
「なかよし」編集部さんから、コメントをいただきました!
『カードキャプターさくら クリアカード編』 第1巻
CLAMP 講談社 ¥429+税
(2016年12月2日発売)
16年ぶりに『カードキャプターさくら』が「なかよし』に帰ってきた! 連載開始から20周年を迎え、それを記念してテレビアニメも2018年1月に始まるとのこと。『なかよし』は小・中学生向けの少女雑誌とされ、20年前の読者はいま……と細かいことは気にしない。
『CCさくら』(略称)は、90年代後半から2000年にかけてマンガ・アニメを席巻した作品だ。
同時期のアニメだと『新世紀エヴァンゲリオン』のインパクトがスゴかったが、こと「萌え」にかけてはエヴァを凌ぐ影響力があったはず。
普通の女の子だった木之本桜(以下さくら)が、この世に災いをもたらすカードを回収する「カードキャプター」となり、仲間たちとともにカード集めに奔走する。
そんな本作は、“王道の魔法少女”ד後のカードバトルもの”を先取り。「なかよし」を読む女の子たちを虜にしたのはわかるとして、それを超えたブームが吹き荒れたのはなぜか。
ひとつには、年齢性別を超えて訴求するキャラクターの魅力だ。
ヒロインのさくらは、スタート時点では小学4年生の女の子。そのふわふわした雰囲気はアニメ版では丹下桜さんのいやしボイスで破壊力を高め、「大きなお友だち」も一網打尽にしてしまった。
いや、もともと原作の創作集団CLAMPは『東京バビロン』などハイティーンの心をつかんでいたので、小中学生の心「も」つかんだことが恐るべしか。
もうひとつは、魅力あるキャラクター同士の「関係性」だ。
さくらとカードをめぐり、ライバル関係となる男の子・李小狼(リ・シャオラン)。衝突もあったものの、最終的にはさくらと相思相愛の仲になる(その時点で2人ともまだ小学4年生というのもスゴイが)。さらにアニメでは小狼にメイリン(アニメオリジナルキャラだが、アニメは原作者も深く関わってるので「原作キャラ」といっていい)という婚約者が登場し、複雑な恋模様も展開した。
複雑といえばほかにもある。さくらの兄・木之本桃矢と親友の雪兎(男)は性別を越え、「ずっとそばにいたい」と想う間柄。さらに一時期、雪兎を見て顔を赤らめていた小狼。じつは雪兎の能力に惹かれていたのが理由だが、雪兎に憧れていたさくらとは、カードだけではなく恋のライバルともなったのだ!
ほかにも教師と生徒の禁断の恋も本編では描かれ、おかげでいろいろな方向に目覚めた人たちは数え切れず。当時、NHK-BSの独占放送だったため、契約数が大幅に増えたという伝説は伊達じゃない!