日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『ディエンビエンフー』
『ディエンビエンフー』 第2巻
西島大介 双葉社 ¥740+税
(2017年2月28日発売)
1965年のベトナム。米軍に随行する日系アメリカ人カメラマン、ヒカル・ミナミは米兵たちがベトナム人の少女たちに乱暴をはたらく現場を目撃する。
口封じのために銃を向けられたヒカルは、その時助けに入ってくれたベトコン(ゲリラ)の少女に恋をしてしまった。
ベトコンにプランセス(姫)と呼ばれる少女もヒカルのことを気に入っているようだが、彼女は「はみ出し者の集団」と呼ばれる米陸軍特殊部隊グリーン・ベレーのなかのはぐれ者チーム「ストレイ・ドッグス(野良犬たち)」を着実に(ヒカル以外を)惨殺していく。
「ンクク」と笑いながら、小柄とはいえ男のヒカルをかるがるとかついでとびまわる“姫”は、1954年5月7日の第一次インドシナ戦争中最大の戦闘・ディエンビエンフーの戦いでフランス軍の要塞が陥落した日に生まれた。
ベトコン最強の戦士だった彼女の祖母に育てられて11年、少女はりっぱな殺戮の天使となった。西島氏得意のポップでキュートな絵柄のままで敵を容赦なく斬り刻んでいく描写には思わず息をのむ。
第2巻で物語は1965年10月まできているが、2人はまだお互いを知らないままでベトナムの地を転々としている……。2人が再び交わるのはいつの日になるのだろうか?
なお、巻末には幼なじみの少年・カカオにバレンタインチョコを渡し、6年前に拒絶されたバレンタインデーのリベンジを果たそうとする描き下ろしマンガ『チョコレート帝國』の2コ目(2話)を収録。
こちらも続きが第3巻に収録されるとのことなので、お楽しみといったところ!
<文・富士見大>
ゲームデザイナーをへて編集・ライター。最近作は『「仮面ライダー」超解析 平成ライダー新世紀』、『「ウルトラマン超解析」大怪獣激闘ヒストリー!』。ただいま発売中の「東映ヒーローMAX Vol.55」にも参加しています。