日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『初恋の世界』第2巻
『初恋の世界』 第2巻
西炯子 小学館 ¥429+税
(2017年3月10日発売)
『姉の結婚』『娚の一生』『カツカレーの日』といった作品群でアラフォー女性の微妙な心の揺れを描き、共感を集めている西炯子の新連載の第2巻。
こだわりのカフェの店長を務めていた小松薫(40歳・独身)は突然、故郷の角島の店舗の立て直しのため転勤を命じられる。その店は押しかけバイトの小鳥遊(たかなし)が仕切っていてーー。
しっかり者キャラのようで自分に自信が持てず、本気の恋も自分磨きもできないまま仕事だけをよりどころに生きてきた薫は、これぞこじらせ女子!
「店長って本気で恋愛したことないでしょ」「そこそこには美人なんですから 男に関心持たれまいとしてるんならめんどくさい人だな」なんて、小鳥遊の小憎らしい♡挑発にも「どうせ年上の女をからかってるんだ」とかたくなに心を閉ざし続ける薫にはヤキモキせずにいられない!
本巻では小鳥遊の素性が少しずつ明かされてくると同時に、薫の地元の友人たちの抱える問題も徐々にクローズアップされてきて。
現在の境遇やキャラは違えど、みんなそれぞれ人にはいえない事情を抱えていて、だからこそ、あれこれ干渉はせず生あたたかく見守ってくれる女友だちってやっぱり貴重だよね~としみじみ。
ラストの「ある展開」により、次巻ではいよいよ鉄の女・薫にも変化が訪れそうな予感大。
いい加減、大人なんだし早く素直になれよ~と、つい文句を垂れたくなるのも西作品のお楽しみのうち。優柔不断なヒロインに我が身を重ねつつ、見守らずにはいられません。
<文・井口啓子>
ライター。月刊「ミーツリージョナル」(京阪神エルマガジン社)にて「おんな漫遊記」連載中。「音楽マンガガイドブック」(DU BOOKS)寄稿、リトルマガジン「上村一夫 愛の世界」編集発行。
Twitter:@superpop69