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『ORIGIN』 第2巻 Boichi 【日刊マンガガイド】

2017/05/17


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『ORIGIN』

  
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『ORIGIN』 第2巻
Boichi 講談社 ¥580+税
(2017年4月6日発売)


人間世界で生き抜くことを選んだロボットたちを描いた『ORIGIN』の第2巻が発売された。
東京という大都市のなかで、ひたすら人間になりすまし、ロボットであることをひた隠すのがよいか。
それともロボット自身の幸福を追求し、人間どもを気にしない生き方が正解なのか。
彼ら・彼女らの心の片鱗が見えてくる!

前巻で、プロトタイプ・ロボットである主人公“オリジン”を奇襲した2人のロボットたち。
これから徹底した戦いが始まるかと思いきや、彼はある考えを敵の2人と共有することに成功する。
それは“人間にロボットの存在が露見する危険”という考えだった。敵味方関係ない共通の問題に従い、両者は闘うことを停止する。
彼らロボットたちは、闘うことで新たな問題を認識した。
なぜ、ほかのロボットはプロトタイプに勝てなかったのか。
経験か? 処理能力か? 戦闘能力か?
そして“オリジン”もまた、彼が忠実に実行しているコマンド“とにかく生きること”に対して、何が不足しているのかを考え始めた。
そして、彼らは各々別の方策を目指すこととなる。

そんななか、新入社員にもかかわらず配属されたのは、研究所の中枢、ロボットの頭脳を開発する“頭チーム”だった。
“オリジン”は目立たないよう発言を控えるも、すべてが裏目に出てしまい、セカンド・チーフ、“ラウラ・フェルミ”直属の部下となってしまう……。

この作品、シリアス路線な印象はあるものの、だいぶコメディ路線が露出してきた印象だ。生まじめのなかに出てくるおもしろさみたいな、ちょっとひねった笑いがニヤニヤさせる。
本作を含め、Boichi作品から感じるのは、古くは星新一や小松左京といったSF界の大御所と同じような読後感。
それは、ショートショート的ギャグとシリアスSF、そしてアクションやヒューマンストーリーなどが渾然一体となった濃密なインパクトと、その完成度の高さからくるのだろう。
絶妙なバランスのマンガだが、今後の展開が思いっきりコメディになっていくのか?
それもまたこのマンガの楽しみのひとつだったりする。



<文・沼田理(東京03製作)>
マンガにアニメ、ゲームやミリタリー系などサブカルネタを中心に、趣味と実益を兼ねた業務を行う編集ライター。

単行本情報

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