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『シラフでいても意味がない』第3巻 山田まりお 【日刊マンガガイド】

2014/09/13


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『シラフでいても意味がない』第3巻
山田まりお 徳間書店 \680+税
(2014年8月25日発売)


さまざまなキャラクターとシチュエーションからなる、連作のストーリー4コマ。掲載誌は『Chara』で、「BL4コマ」と銘打たれてはいるが、その力の抜け方にこそ力を入れたおもしろさは、男女問わないものだ。
作者は4コマ誌でもBL誌でも活躍しており、それが幅広い層が楽しめる要因になっているのかもしれない。

本作は、ワンマン生徒会長と運動部員たちの“嵯峨山GR(グラフティ)”、乙女な極道兄貴の“ファンシー兄貴の恋”、ヘタレな人気イケメン作家とドS美麗編集者の“葛木志高(かつらぎしこう)の絶望”。はたまた、会社副社長とお抱え陰陽師の“陰陽師 華弥野小路八雲(かやのこうじやくも)”、ヤクザな執事の“四鳳院家の執事”といった、いくつかのシリーズで構成されている。どれも、一筋縄ではいかないマイノリティなキャラクターが登場。
また、最新3巻からは、刑事と明らかに人間(!?)なロボポリスがバディを組む“小江戸ロボポリス”のシリーズもスタートする 。

誤解を恐れず言ってしまえば、そもそもBLのおもしろさというのはマイノリティ≒はみだし者が持つ、せつなさや愛おしさに依存するところが大きい。そのBLならではの「せつなさ成分」を使って4コマで笑いを追及したのが、本作なのだ。
なかでも出色なのが、息子もいる中年サラリーマンが、ある日突然、魔法少女になってしまう“マジカルミドルしんのすけ”シリーズ。魔法少女になってしまったサラリーマンに、周囲はとまどうやら、興奮するやら。ツボを突く細かな笑いは、それこそ「マイノリティなおもしろさ」。
このはじけっぷりと、男から見てもどこだかかかわいらしく思えてしまう魔法中年の魅力、シラフで読んでも泥酔いに! “マジカルミドルしんのすけ”シリーズ、アニメ化希望です♪



<文・渡辺水央>
マンガ・映画・アニメライター。編集を務める映画誌「ぴあMovie Special 2014 Autumn」が9月17日に発売に。『るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編』パンフも手掛けています。

単行本情報

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