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『闘神デビルマン』 永井豪(作) 岩本佳浩(画) 【日刊マンガガイド】

2017/06/23


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『闘神デビルマン』

  
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『闘神デビルマン』
永井豪(作) 岩本佳浩(画) 復刊ドットコム ¥2,300+税
(2017年5月18日発売)


「デビルマンの右手は『神代慶』の『心』をつかさどり! 左手は『アモン』の『闘争心』をつかさどっているのである!!」。
『デビルマン』といえば永井豪の名作コミックで、主人公の名前は神代慶ではなく不動明。いや、それでも本作も紛れもなく『デビルマン』なのだ。

1998年から1999年まで「コミックボンボン」に連載された、『闘神デビルマン』。本作は永井豪原作の『デビルマン』を、『ロックマンX』シリーズの岩本佳浩がマンガ化したもの。たんなるリメイクやリブートではなく、キャラクターデザイン含めTVアニメ版の『デビルマン』(72~73)を踏まえているのがポイントだ。単行本化されずにいたが、今回、復刊ドットコムより刊行。知る人ぞ知る話題作が、ついに広く読まれることになった。

原作では地球を人類から奪い返そうとするデーモン族に立ち向かうため、主人公・不動明はデーモンと合体して悪魔の力と人間の心を持つデビルマンとなる。
一方、本作では、人間は無力すぎて闘う相手ではないと考え、支配者・魔皇ゼノンの地球侵略に反対していたデーモン族の四天魔のひとり・アモンが、ゼノンとの争いに敗れて人間界に逃げてきたところから物語が動き出す。そこで出会うのが、本作の主人公である神代慶。重傷を負ったアモンを助け、友人のために闘う姿勢を見せる慶に関心を持ったアモンは、強い心を持つ彼に自分の強い力を与えることを思いつき、2人は合体する……。

原作の人気キャラクターでもあるシレーヌが登場したり、最大の敵となる四天魔のひとり・狡魔ヴィルフェもまた人間と合体したデビルマンであるというオリジナル設定があったり、原作ファンもまた新たな視点で楽しめる作品となっている。
そもそもアニメファンにとっては、アニメデザインのあのデビルマンが迫力たっぷりに描かれているというだけでも必見だろう。見どころは、やはり戦いのシーン。永井豪の絵柄やコマ割りとはまた違うが、そのマッチョなダイナミズムは、原作にも相通じるもの。

そう、これは日本のアメコミなのだ。もともとストーリーのダークさにおいても『デビルマン』はその匂いを持つが、岩本佳浩のマンガ的にしてどこかアニメ的、デザイン的にして劇画的な絵柄は、うん、日本のアメコミ。雄々しいけれどシャープで、クールなのに熱っぽい。『デビルマン』をまったく知らない読者も、その迫力に魅了されてしまうはずだ。“闘神”の描き手・岩本佳浩の再評価ということでも、ぜひ手に取ってほしい1冊。



<文・渡辺水央>
マンガ・映画・アニメライター。映画『暗殺教室』パンフも手掛けています。

単行本情報

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