日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『ゆきうさぎのお品書き』
『ゆきうさぎのお品書き』 第1巻
木田翔一(画) 小湊 悠貴 (作) 集英社 ¥600+税
(2017年7月19日発売)
小料理屋「ゆきうさぎ」――まず名前からして響きが優しく、じつに心地よいではないか。
加えて味はもちろんのこと、すべての料理にあたたかい気持ちと気配りがこめられている店なのだ。
それにつられて今日も人が集まり、ほっこりとした物語が始まる――。
集英社オレンジ文庫で人気を博しているシリーズが、待望のコミカライズで登場した。 マンガでももちろん、おいしい料理に出会えること間違いなしだ。
女子大生の碧(あおい)は、気がつくと畳の上に横たわっていた。
近くにいた青年に話を聞くと、ここは小料理屋。店の前で貧血を起こしていた碧を、彼が助けてくれたらしい。
年若い店主の名は、雪村大樹(ゆきむら・だいき)。
わけあって食べることがつらくなっていた碧も、彼の料理にだけは食欲が反応した。
そしてその縁がもとになり、彼女は大樹の店「ゆきうさぎ」で働き始めることになり……。
「やがて、いのちに変わるもの。」
――有名な食品メーカーグループのスローガンだが、この作品を読んで、ふとこのコピーが想起された。
食というのは身体をつくるだけではなく、心にも強く影響する。
心と身体をまとめて「いのち」ならば、それを育む料理を出してくれるのが「ゆきうさぎ」なのではないか。
いのちあればこそ、人は様々な喜怒哀楽を抱き、誰かとのつながりを望む。
そして「ゆきうさぎ」は、それを手助けするような料理を、さりげなく自然に出してくれる素敵な店なのだ。
あなたもぜひ、本作
で心あたたまる料理をご堪能ください
<文・山王さくらこ>
ゲームシナリオなど女性向けのライティングやってます。思考回路は基本的に乙女系&スピ系。
相方と情報発信ブログ始めました。主にクラシックやバレエ担当。
ブログ「この青はきみの青」