365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
9月22日は日大ギャング事件が起きた日。本日読むべきマンガは……。
『テキサスレディオギャング』
榎屋克優 集英社 ¥514+税
1950年の9月22日、日本大学本部の会計課員が襲われ、現金190万円が奪われるという「日大ギャング事件」が起こった。
犯人は、日本大学本部に務める運転手だった19歳の少年。強盗後、18歳の日大教授の娘と逃走したことや、逮捕の際に恋人に向かって「オー・ミステイク!」と叫んだことが話題を呼び、本事件は「オー・ミステイク事件」という別名でも呼ばれることとなる。
そんなギャングつながりということで、今回は『テキサスレディオギャング』を紹介したい。
主人公は、イギリス人ハーフの高校生・山本ピーター。深夜ラジオをこよなく愛する彼の学生生活は、同じ趣味を持つ“シバケン”こと柴田兼一がイジメによって命を落としたことで一変した。
生前シバケンがつくりかけていたラジオドラマを通し、彼の真意を知ったピーターは、彼を救えなかった後悔を胸に、その作品を友人とともに完成させようと奮闘していく。ある目的のため、狂気を孕みながらドラマ制作が盛りあがっていくさまは、圧巻のひと言!
読んでいるこちらも、思わずあふれ出る熱気に当てられてしまう。
作中で語られる、暗闇のなかに物語を浮きあがらせるラジオドラマのすばらしさが一気に表出する衝撃のラストシーンまで、1日だけギャングになった少年たちの青春は止まらない。
<文・山田幸彦>
91年生、富野由悠季と映画と暴力的な洋ゲーをこよなく愛するライター。怪獣からガンダムまで、節操なく書かせていただいております。
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