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『天竺熱風録』 第2巻 田中芳樹(作) 伊藤勢(画) 【日刊マンガガイド】

2017/10/29


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『天竺熱風録』



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『天竺熱風録』
田中芳樹(作) 伊藤勢(画) 白泉社 ¥600+税
(2017年9月29日発売)


『アルスラーン戦記』『銀河英雄伝説』を筆頭にメディア化作品も数多い人気作家・田中芳樹。
『天竺熱風録』は知名度的には上記2作品よりもマイナーだが、その痛快さでファンの間で根強く支持される歴史冒険小説。昨年9月から『荒野に獣慟哭す』の伊藤勢によるコミカライズの連載が「ヤングアニマル」でスタートしている。

主人公は、実在した唐の文官・王玄策。
日本大百科全書によればなんと天竺まで3度も往復し、しかも2回目の天竺行きでは現地の内乱に巻きこまれたものの、文官ながらチベットとネパールの兵を借りてそれを鎮めたという。
田中芳樹が見出した希有な人物が、コミカライズでさらに活き活きと躍動する。

第2巻では、唐の使節団の部下たちを救うため、悪王に支配された曲女(カナウジ)城の牢獄からひとまず脱獄を果たした王玄策。そこに強敵が立ちはだかる!?

原作以上にふてぶてしくも男気あふれる快男児となった王玄策の豊かな表情と豪快なアクションが読者を離さない。うさんくさく魅力的な現地の人々、熱風に吹かれる天竺の風景もしっかりと描かれ、物語を支えている。



<文・卯月鮎>
書評家・ゲームコラムニスト。週刊誌や専門誌で書評、ゲーム紹介記事を手掛ける。現在は「S-Fマガジン」(早川書房)でファンタジー時評、「かつくら」でライトノベル時評を連載中。
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単行本情報

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