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『ナナのリテラシー』第2巻 鈴木みそ 【日刊マンガガイド】

2014/10/11


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『ナナのリテラシー』第2巻
鈴木みそ KADOKAWA/エンターブレイン \650+税
(2014年9月24日発売)


PC部に所属する優秀な女子高生・許斐七海(このみななみ)が、天才ITコンサルタント・山田仁五郎のもとで職場体験! といっても、本作はユルいお仕事訪問記にあらず。
第1巻では、“鈴木みそ吉”なる漫画家の救済に取り組み、出版社に頼らず個人で自著のKindle版をAmazonで売り出すプロセスが展開されるのだが、これはまさに著者の成功体験にもとづく話。
まさにITビジネスの今とこれからが学べる内容で、書籍以外のニュース媒体でも絶賛されている作品だ。

第2巻のテーマは、小さなゲーム会社の生き残りの道を模索すること。依頼者である社長以外には正体を隠し、七海がゲーム会社にアルバイトとして潜入。
ハイクオリティのゲームにこだわりを持つ社長と、課金で儲けるガチャゲーの制作を得意とする優れた若手プログラマーの対立構造を描きながら、ゲーム業界の現在にメスを入れていく。

重要な局面ではしっかり仁五郎がキメるものの、七海が単なる狂言回しではなく自分なりに策をめぐらせていく様も読んでいて心地よい。
変に背伸びしたり、大人に一泡吹かそうと見得を切ったりしない七海のキャラが、とにかく魅力的。社会人の胸を借り、謙虚に学ぶ姿勢を持ち続けるのがほほえましく、またこちらも襟を正す気持ちになるのだ。



<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
「ド少女文庫」

単行本情報

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