日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『虹、甘えてよ。』
『虹、甘えてよ。』 第1巻
青木琴美 小学館 ¥429+税
(2017年10月26日発売)
『僕の初恋をキミに捧ぐ』『僕は妹に恋をする』『カノジョは嘘を愛しすぎてる』——大ヒット作を連発する青木琴美、待望の新連載が始動!
ヒロインは高校3年生、柔道部で副部長を務める山城虹。
男子にもひけを取らない実力の持ち主で、サバサバ明るい女の子だ。
柔道部部長の岳はそんな彼女に密かに想いを寄せているのだが、同じく部員で親友でもある日和に「練習後に虹を呼び出した」と告げられて……。
「虹のことが好きならその場に来い」といわれていたにもかかわらず、結局行けなかった岳。
それでも無関心でいることもできず、虹と日和が抱擁しあう場面を盗み見た岳は大きな誤解をしてしまう。
岳が自転車置き場でガックリしているところに現れたのは、虹と何やらスッキリした様子の日和。日和に、虹を送っていくよう促されたのに、ひとりでさっさと自転車で帰ったことを岳は後悔することになる。
この日の帰り道、明るく屈託のない虹を変えてしまう事件が起こってしまうなんて、もちろんだれも予想しえなかったのだが……。
第1巻からグイグイとドラマティックにたたみかける展開は、さすがのひと言に尽きる。
虹をナイトのように支える岳と日和の三角関係を軸としつつ、心に傷を負ったヒロインを追い詰める“世間”の無神経さなど現代的な問題をもはらむ本作。
次巻も発売日当日に買ってしまうのは間違いないだろう。
ちなみに本巻には『カノ嘘』の番外編ショートも収録。幸せいっぱいなマッシュとアキにまた会える!
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
ブログ「ド少女文庫」