『暁の明星』第2巻
きづきあきら/サトウナンキ 秋田書店
(2014年12月19日発売)
『ヨイコノミライ』に『うそつきパラドクス』、『セックスなんか興味ない』……人間関係、恋愛関係の複雑に絡み合う思惑、モヤモヤした心理を赤裸々に、そしてエロティックに描くことでは随一の黄金コンビ。
きづきあきら+サトウナンキによる本作の舞台は、革命前夜のフランスだ。
貴族の娘アリーヌには、幼なじみであるジャックという許婚がいるが、実兄のロランに恋心を抱いている。
そんなおり、ロランの放蕩ぶりが世間を騒がせるという事件が発生、アリーヌは家の外聞を保つために修道院に入ることに。離れて暮らせば兄への想いも断つことができると思いきや、そこはとある好き者の侯爵の支配下に置かれた、退廃的な宴が繰り広げられる場所だったのだ。
おぞましい辱めを受けながらも、ひたすらに自分を見失うまいとするアリーヌ。彼女をなんとかして助け出そうと画策するロランとジャック。
そんななか、民衆による革命の機運は高まり、修道院も安全な場所ではなくなっていき……。
20ページの描きおろしを加えたラストは衝撃そのもの!
聖なる愛とは何なのか、俗な愛欲とはどこが違うのか。よくも悪くも無垢きわまりない貴族の少女がたどり着く“愛”のかたちは、美しくも物悲しい。
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
「ド少女文庫」