『マリーマリーマリー』第1巻
勝田文 集英社 \419+税
(2015年2月25日発売)
鍼灸師のリタが、ブルースギタリストの森田を見かけたのは、往診先のライブハウス。
照明の落ちたステージの片隅で彼がつまびくギターとヘンテコな歌が妙に心に残ったのだが……そんな彼と街で再会、急接近。お互いのことをよく知らないまま、フィーリングで結婚することに!
……と、きわめて少女マンガちっくなイントロでありながら、いろんな経験を経てきたオトナならではの“人を見る目”あっての決断ということがちゃんと伝わってくるのもミソ。
リタの部屋に転がりこんできた森田は謎の自由人。見た目はこざっぱりしたイケメンで料理上手だけど、これまで居候生活だったところを見るとよくいる売れないミュージシャン? かと思えば人気ミュージシャンに慕われていたりと、意外な実力派?
仕事柄、お呼びがかかると不意に音信不通になったりと、なんともとらえどころのない森田だが、そんな彼に振りまわされるのもまたサプライズな楽しさ。愛車ミニ・クーパーを駆って緊急出動するリタの新婚生活はワクワクに満ちて刺激的だ。
狭い部屋に2人暮らしの、雑然としつつも地に足のついた生活感もいい。そして……大好きな音楽を聴きながらドライブすれば、どこにだって行ける気分!
新鮮な豊かさをもたらす2人の結婚生活を、いつまでも見ていたい気持ちでいっぱいになる。
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
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