『あつあつふーふー』第2巻
佐藤両々 双葉社 \648+税
(2015年5月28日発売)
玉名蘭。彼女は魔性の女である……。
だって、身体と服にしみついたソースの香りが食欲をそそるんだもん! お好み焼き食べたい……おっちゃん、肉玉ソバWイカ天入りで!
広島にある、お好み焼き屋を舞台にした人情コメディ。主人公の玉名蘭は、お好み焼き屋「たまな」の看板娘。着物にたすき姿の彼女のかわいさったらない。「たまな」は蘭ちゃんを見ながらおいしいお好み焼きを食べられる店なのだ。
そんな蘭がかわいすぎてデレデレ、かつ蘭に近づく男がいたら烈火のごとく怒り狂う親バカお父さん。気持ちはわかるけど仕事に支障をきたすので、ほらさっさと働いて!
蘭をめぐる家族・友人・お客を描いたこの作品には、「ヒロイン」が3人いる。
ひとりは蘭自身。高校を卒業し、進学した彼女。今は「たまな」の看板娘として働いている。ただ将来のことをちゃんと考えられているのか不安になり、悩む。好きな男の子、青木くんにもきちんと思いは伝えられず、心は揺れっぱなし。
2人目は友人の小麦。カフェの看板娘で、日々甘いもの漬けなのでソースの香りただよう蘭の家に憧れる。蘭を心から信頼する無二の親友。そして、蘭のお兄さん・寛が好きで、アタックを続けている純情まっすぐ乙女。
3人目は、ずばり蘭のお兄さんの寛。妹の欄も心配するほどの天然な一面を持つ。彼はお父さんの跡を継ぐため、お好み焼き職人として日々修行、鍛錬している。味は抜群、お客さんにも評判がいい。
ところが何につけても考えすぎてしまうクセがある。幼なじみの好実が好きだったにもかかわらず、アクションを起こせず、好実はほかの男性と結婚してしまう(そして別れてしまう)。
小麦がお好み焼きを食べに来た時は、彼女の食べられる適正サイズなどをしっかり把握しているマメさを見せる。ところが彼女のアプローチにはリアクションできない。
チャンス逃しすぎぃ! 妹の蘭が焦れるのもわかるし、そのまじめなところがいいのもわかるからむずがゆい。
3人のかわいいヤツラを彩るのは、心地いい響きの広島弁。カープの話題もむろんてんこ盛り。
ちなみに「広島焼き」とつい言いがちだが、地元では「そんなもんはない!」とNGらしいので要注意。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」