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『カコとニセ探偵』第2巻 光永康則 【日刊マンガガイド】

2015/07/10


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『カコとニセ探偵』第2巻
光永康則 集英社 \514+税
(2015年6月19日発売)


Q:探偵が殺人事件の真相を調べる時に、もっとも欲しいものはなんでしょう?
A:死者の証言

通常は、死人に口なし。ところがこのマンガの主人公・六波羅覚(ろくはら・さとる)は、死者の霊が見える。死者の霊たちは、その無念を晴らそうと犯人や重要なヒントを指さし、悟に事件の真相を伝えようとする。
覚の探偵活動は、幽霊たちが伝えようとしている意志の翻訳。提出された「解答」を、持ち前の推理力を駆使して、どういう犯罪だったのかを警察に伝える。
そりゃ100パーセント当たるわな。

ただそんな名探偵も、超常現象によって引き起こされる事件については、答えがわかっても解決できない。
彼は少女の姿をした神様・化子(カコ)に取り憑かれる。まず死者の声を聞いて事件を解決。怨霊たちを神たる化子の力で封じる。
名探偵タッグの誕生だ。

無敵感あふれる設定。しかし覚本人は不幸だというのが興味深い。
幼い頃から幽霊が見えていた覚。「少年探偵」の形をとり、次々に事件を解決。天才推理少年と世間を騒がせた。
みんな幸せになると思った。しかし逆恨みした犯人の仲間が日々覚の家族の命を襲うようになった。友だちもいなくなった。
幼いながらに正義を選んだ時、家族は彼から離れていった。

見た目もセリフも『名探偵コナン』のオマージュになっている覚。
探偵という「暴く」職業の人間が、何もかもわかってしまい、責任を負ってしまったら、というifの物語になっている。
正義感が、自分の幸せになるとはかぎらない。

最新2巻では、殺したい人間の名前を書けば必ず死ぬノートが登場。『デスノート』のオマージュだ。
無論これにもタネがあり、覚には答えは見えている。問題はどう解決するか。ひとりでは解決できない。

ひとりの時は感情を殺して事件を解決していたが、これからは化子と解いていくことになる。
デコボココンビでの推理活動で彼の心がほぐれた時、本当の意味での「すべての事件の解決」になるはずだ。



<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」

単行本情報

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