日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは『富士山さんは思春期』
『富士山さんは思春期』第7巻
オジロマコト 双葉社 ¥600+税
(2015年8月28日発売)
身長181cm。
大柄な少女・富士山牧央(ふじやま・まきお)と、上場優一(かんば・ゆういち)の恋物語も7巻目。
毎日がドキドキだった2人も、日常生活で一緒にいる時は、ちょっとだけ余裕ができてきた。
とはいえ、いざイベントがあると心臓がバクバクするというもの。
この巻は2~3月。欠かせないのはバレンタイン。
2人の関係も安定してきたものだから、もらえるもんだと思っていた上場くん。ところが靴箱には入ってない。もらえない。あれー?
慣れてきても、やっぱりあらためてチョコを渡すのは、照れるもんだよ。乙女だもん。
上場くんより頭ひとつ大きい、富士山さん。
最近は大柄なことを、自分の個性として認めはじめている。節分で鬼の面をつけ、幼い子の相手をする姿はいじらしい。
けれど、やっぱり彼氏の胸に抱かれたい。上場くんだって彼女を胸に抱きしめたい。
この2人の感情を、上場くんが気を利かせて、ある方法をとることでクリア。
心臓の音を感じるというのは、生きていることを感じること。幸せなシーンだ。
2人は、順調に成長してきた。
次の8巻ではついに3年生。卒業年度だ。将来の不安もある。
だが、2人は安心して見ていられる、安定感のあるカップルになった。たとえ何か問題が2人に起きても、ちゃんと乗り越えられるだろう。
大人びてきた2人。とはいえ、まだまだ子どもだ。
富士山さんたち女子が作る、バレンタインのチョコレートクッキー。
正直、上手ではない。手探りでキャッキャと作っているのを見ると、やっぱり幼い。
どうしても、富士山さんは体躯と安定した性格で、成長が早いように見られがち。
だが、彼女はまだまだ中学2年生の、少女なのだ。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」