365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
10月6日は役所改革の日。本日読むべきマンガは……。
『小学館文庫 市長 遠山京香』第1巻
赤石路代 小学館 ¥657+税
役所に行かねばならない用事があるとき、なんとなく気が重くなる人は多いのではないだろうか。
もちろん親身になってくれる人もいるのだが、正直「四角四面で融通がきかない」イメージが大。心理的に距離が遠くて、気軽に相談を持ちこむ気持ちになりにくいのである。
10月6日は「役所改革の日」。
1969(昭和44)年のこの日、千葉県松戸市役所が、従来の縦割り行政では対応できないような事案に即対応する「すぐやる課」を設置したことに由来する。
これを発案した当時の市長は松本清氏。
そう、あのドラッグストアチェーン「マツモトキヨシ」の創業者である。掲げたモットーは「すぐやらなければならないもので、すぐやり得るものは、すぐにやります」。
この取り組みは全国的に注目を集め、のちに全国300以上の自治体が同じような課を立ち上げたという。松戸市役所の「すぐやる課」は今も健在だ。
『市長 遠山京香』は、まさに「こんな市長がいたらなぁ」を具現化したような作品。
ベストセラー推理作家としても活躍する京香が市長となり、推理力を活かしながら、さまざまな問題を解決していくストーリーだ。
美人で切れ者で正義感に満ちていて、そして生活者としての庶民的な感覚を持っているのが京香の魅力。
イラストレーターの夫、小学生の娘、義母との4人暮らしだが、家事もしっかりこなす。運動不足解消も兼ねてさっそうと自転車で町を走り回るからこそ、目配りもきく。調査にはママ友だち同士のネットワークがものを言うことも……。
自分の鼻で「おかしい」と感じたら、すぐに取り組みを開始するフットワークの軽さが頼もしい。
環境、福祉・介護、医療、インフラ整備、いじめ、子育てなど暮らしのなかのさまざまな問題、さらには行政内部の問題なども取り上げた意欲作である。
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
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