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『スーパースーパーブルーハーツ』第1巻 山田玲司 【日刊マンガガイド】

2015/10/23


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『スーパースーパーブルーハーツ』


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『スーパースーパーブルーハーツ』第1巻
山田玲司 小学館 ¥602+税
(2015年9月18日発売)


壊れていく恋人の心を支えられなかったことを機に、スクールカウンセラーとなった伊豆山直太郎(いずやま・なおたろう)。
悩みを抱えている子どもたちの話を聞き、助言したり励ましたり……それなりにやりがいを感じる伊豆山だったが、ある日、自分の力の限界を感じざるを得ない案件に直面する。
まるで心を開いてくれない少女・青海ゆらの制服の胸元には、青いカプセルのペンダントがぶら下がっていた。「ブルー」と呼ばれるそれは、若者の間で流行っている、いつでも死ねるお守り。
カプセルには青酸カリが入っているというのだ。

差し迫った危険を感じた伊豆山は、伝説的なメンタルトレーナーを探し当て、応援を求める。
その人物こそ、「どうしようもない憂鬱をごきげんハーツに変える男」、ドクター・HUGこと羽黒灯(はぐろ・あかり)だ!

経験不足に加え、マジメで熱い性格がときに災いしてしまう伊豆山。
一見チャラいが、指導するのではなく的確に人の心に寄り添う羽黒のコントラストがいい。
伊豆山も単なる狂言回しではなく、羽黒とは違うタイプだからこそ、その人なりの資質を活かしていけるだろうことを予感させる描き方にも作品のコンセプトが行きわたっている。

どんな人でも大なり小なり、心のなかになにかしらの問題を抱えているだろう。
小さな憂鬱が、どうしようもない空しさや生きづらさの発端になることもある。
すべての人の、それぞれの“心”を尊重し、肯定する羽黒の言葉にぜひ触れてほしい。そこには、人をよい方向に導こうというような奢りはない。

相談者と同じ人間であることを忘れない、心の医者・羽黒の言動は一つひとつが示唆に富んでいる。



<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
ブログ「ド少女文庫」

単行本情報

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