日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『スティーブズ』
『スティーブズ』第3巻
松永肇一(作) うめ(画) 小学館 ¥610+税
(2015年11月12日発売)
『大東京トイボックス』のうめが描く、いわば超訳伝記もの最新作。
20世紀から21世紀にかけてもっとも世界を変えた男スティーブ・ジョブズと、彼が惚れこんでともにアップル社を立ち上げたエンジニアのスティーブ・ウォズ。この2人の「スティーブ」が本作の主人公だ。
創業初期の破天荒な勢いを、ジョブズの特殊能力と言われた圧倒的プレゼン能力の卓越した表現で描いた第1巻。ジョブズの終生のライバルとなることになる、もう1人の“世界を変えた男”ことビル・ゲイツの若き姿が登場し強烈な印象を残す第2巻に続き、最新刊となる第3巻はまた強烈。
興隆期にあたるアップルが、好調な業績を上げていることを周囲にアピールしながらも、その内実はトラブルに続くトラブル。
ジョブズの傲慢な性格も災いして、あわやアップルの信用が地に落ちかねない事態が到来。
ジョブズのお目付役としてアップル社CEOに就任したスコッティの辣腕も、ジョブズの天才的なプレゼン能力も、もはや問題を打破できないのか……!
単なるビジネスものでも、ましてや凡庸な伝記ものでもない、特殊能力バトルすれすれのケレン味たっぷりの表現で描く、実在のサクセスストーリー。
今回はジョブズの師匠にあたる人との能力対決みたいな場面があってうれしかった。
まだまだ続きが楽しみな作品だ。
<文・永田希>
書評家。サイト「Book News」運営。サイト「マンガHONZ」メンバー。書籍『はじめての人のためのバンド・デシネ徹底ガイド』『このマンガがすごい!2014』のアンケートにも回答しています。
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