日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい！WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー！

今回紹介するのは、『ねーちゃんとオレと、ときどき先生。』

『ねーちゃんとオレと、ときどき先生。』第1巻
TOもえ 竹書房 ￥650+税
（2015年11月27日発売）

「おねショタ」という言葉がある。年上の女性と少年が恋慕う関係のことだ。
「百合」の語はすっかり一般化した。「女装少年」は言うまでもない。

これらを、全部盛りつけたのがこのマンガ。
どこかで不協和音になりそうなものなのに、みごとに成立してしまった。

まず小学6年生の弟・胡蔵（ごくら）アイ。
クールな少年で、目つきはいつも悪い。口も厳しい。頭はめちゃくちゃいい。
ただし歳相応に好きなものはプリンやアニメで、ちょっと幼い。

中学2年生の姉・胡蔵こころ。
明るく元気でおおらか。マイペースで、ボケ体質。料理は得意だけれどもそれ以外が壊滅的にダメで、アイにはいつも振り回されている。

アイの家庭教師、高校2年生の神延瞳（かみのべ・ひとみ）。
有名私立女子高の優等生で、成績優秀眉目秀麗。度のすぎた女の子好き（二次元リアル問わず）で、今はこころにゾッコンすぎて言動のおかしい残念美人。

軸になるのはアイ君。彼は瞳のことがものすごく好みのタイプで、好意を抱いている。
ところが、彼女は姉のこころを見るたびに眼光が鋭くなり、興奮する。そんなの見たくなかったよ。

アイ君の描写が、艶めかしいのは見逃せない。
じと目少年は、幼いながらに冷静で、だけど照れることもある、というギャップ萌えを生みまくってくれる。

瞳とのおねショタ関係。いっしょに美少女戦士系アニメを見て興奮する様子はじつにかわいい。
無邪気なこころと達観したアイが、一緒にビニールプールに入っているシーンがある。幼い姉＋大人びているけどやっぱり幼い弟の密着。GOOD！

願わくば、アイ君の女装シーンがもうちょっと増量してほしいところ。クール少年は振りまわされてこそ。

次は別の少年がアイくんを……とかどうですか。いけるんちゃいますか。

＜文・たまごまご＞
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」