日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『今宵、妻が。』
『今宵、妻が。』第1巻
佐野タカシ 日本文芸社 ¥574+税
(2016年1月18日発売)
33歳の冴えないサラリーマン・小柴健司。非モテの人生を歩んできた彼だったが、取引先の受付嬢にひと目ぼれ。
10歳年下で清楚な黒髪美人、さらにはスタイル抜群という完璧すぎる楓さんだ(表紙をご参照ください)。
そこから何がどうしてそうなったのかは一切不明だが、なんと2人はハッピーウェディング。そんな2人のドタバタなラブラブ新婚生活が描かれる。
女性経験の乏しい小柴が何かにつけて楓さんの言動を下半身方面に勘違いし、妄想全開で暴走に突っ走るのが基本ライン。
「(スキンケア)ローションを買ってきて」と頼まれればアダルトショップでラブローションを購入、残業で遅くなることをメールで伝えた際に「ひとりは寂しいけど(ごはんは)ありもので済ませます」と返信がくれば、「まさかキュウリやゴーヤで……」といてもたってもいられずに飛んで帰る。
個室の鉄板焼き屋が停電になったときなど、「(おしっこを)ガマンできない。(トイレに)イカせて」と楓さんが呟いた瞬間に、そのまま襲いかかる始末だ。
とはいえ当の楓さんも、そんな旦那を“あわてんぼさん”扱いして、けっこう楽しんでいる様子。
まぁ健康な男子たるもの、こんな妻がいたら、おかしくなってしまうのも至極当然ですな。
既婚者が読んだら、リアル結婚生活との強烈なギャップにクラクラすること請けあいですが……。
最近では地味子×SMプレイの『瀧晏名(たき・あんな)の本性はSなのかMなのか俺だけが知っている。』(「コミックヘブン」連載中)、現役グラドル・今野杏南の小説をコミカライズした『撮られたい』(「WEB ヤングキング」連載中)も好調の佐野タカシ。
殿方の心をくすぐり続ける佐野ワールドの進化から目が離せません!
<文・奈良崎コロスケ>
マンガと映画とギャンブルの3本立てライター。中野ブロードウェイの真横に在住し「まんだらけ」と「明屋書店」と「タコシェ」を書庫がわりにしている。著書に『ミミスマ―隣の会話に耳をすませば』(宝島社)。