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『乙女ループ・乙』 鬼龍駿河 【日刊マンガガイド】

2016/02/20


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『乙女ループ・乙』


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『乙女ループ・乙』
鬼龍駿河 白泉社 ¥630+税
(2016年1月29日発売)


「とりとめのない話」という言葉がある。
話に結論やまとまりがなく、中身も特に重要ではない、という意味。

女子高校生の会話は、まさに「とりとめのない」話。オチもなければ、会話にルールもない。

意外とこのとりとめのなさは、大人になると再現できない。
というのも、言葉一つひとつに意味を求めてしまうからだ。
このマンガのなかのキャラクターたちの会話は、まあ見事なまでにとりとめがない。

唐突に「みんなでおそろいの文具とか憧れるよね」と言い出したかと思えば、あっという間に食物連鎖の話にすりかわっている。
「あたし達って花が無いよね」という話からスタートして、いつのまにかクレープに話がシフト。突如学生割引の話にとんだかと思えば、最後にヒロインたちはクレープを食べて終わる。

さすがにキャラのひとりがこう言う。
「私日本語が分からなくなってきた」

ほぼ会話だけで進むこのマンガ。お馬鹿さんな港野まつり、クールなツッコミ役・須藤奈緒、妄想大好き眼鏡っ子・豊田智花。
3人コントとしてきっちり成立している、ギャグマンガなのは間違いない。
ただし理路整然とはしていない。話はぐるぐるとループして、着地点はまったくない。

日々に意味を求めていなかった、思春期ならではの力を再現したマンガだ。
考えるばかりが能じゃない。迷走は全力でする。
オバカな3人の女子は、間違いなく、「楽しむ能力」に満ちあふれている。



<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」

単行本情報

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